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3/04/2013

Something Like Summer(YL5)

Something Like Summer (Something Like... Book 1) (English Edition) (語数97,000語)


文芸風BL…って感じですかな。

Benは近所に引っ越してきた完全無欠に思えるTimに一目惚れ。見た目もいいし、いい車を乗り回しているお金持ち。カムアウトしているマイノリティ扱いのBenに比べて、Timは転校早々人気者たちに囲まれている。しかし、ちょっとした事故から二人は急速に親しくなる。それからの12年を主に3部に分けて丁寧に描いた物語。


最初はつまらないと思ったんですよ。登場人物は少なめなので、筋を見失うことはないんですが、単語が微妙に知らないものが多くて読みがたかったという負荷もありましたし。片思い中のBenはちょっとストーカーっぽかったし。普通じゃない、と、引き気味でした。

でもでもTimの孤独さが断片的に見え隠れするにつれ、その孤独に寄り添えるBenに感嘆しはじめるわけですよ。あぁこれは仕方ないな、と。呼吸ピッタリですから。ただ一抹の不安は14才にして自覚的にカムアウト済みのBenに対して、厳格なカトリックな親を持つTimは隠れゲイだということ。この辺がTimの弱さでもあるんですが、周囲の偏見と共によく描けていると思います。まぁBL系絶対ムリって方にはオススメしませんが、心の機微、学校カーストやヒューストンやシカゴ、オースティンの雰囲気なども含めて、色々なことが丁寧に描写されてて面白いんですよね。

後半はそれこそ完全無欠といったらこっちでしょ!というJaceが登場してからまたまたそれなりに盛り上がっていくんですが、突然の三角関係になるあたりからちょっと色々劇的すぎたりもするかな?なんでそこで三角関係になっちゃうのさ…、と思いつつ、親友のAllisonはの物凄い洞察力で腑に落ちましたよ。さすがカウンセラーになるだけあるわ。BenとAllisonの掛けあいは結構スキです。

…それにしてもBenは歌もどうやら巧いみたいだし、繊細なタイプだけど、カムアウトする勇気があって。というあたりから、私の中のイメージでは完全にGleeのカートになってるんですよね。ですからBenとAllisonのコンビっぷりは、カートとレイチェルみたいな友情なんだろうな、と想像してしまうわけです。