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6/16/2013

Jackdaws(YL6)

Jackdaws (English Edition) (語数132,243語)

1944年5月、Dデイ直前の時期、フランスのレジスタンスはドイツの通信手段を担う電話交換所の施設が入ったシャトーを攻撃した。しかしシャトーの防御は高く、攻撃は失敗する。主人公のイギリスの秘密工作員Flickは新しい攻撃計画を胸に、イギリスへ戻り、女性だけのチームを構成する。秘密部隊Jackdawsとともに再びFlickはフランスへ舞い戻り、電話交換台を狙う…。

A Dangerous Fortuneよりも構成的には読みやすかったです(英語の難易度的には、そう変わりなし)。語り手はイギリスの工作員Flickと、ドイツのエリート大佐Dieter Franckの二人がメインだったので、登場人物多数モノでの読み始めのときに起こりがちな「誰だっけ?」的な混乱は少ない。話も相変わらず怒涛の勢いで進んでいくので面白かったですしね。

最終的な展望はなんとなく予想はつきつつも、道中は、「ありえない!ありえない!Dieterに顔バレまでしているのに、電話交換台に潜入して攻撃とかムリ!危ないFlickー!」と心で叫びながら、気になってついページをめくってしまうというね…。

ただノリ的には、A Dangerous Fortuneの方が個人的には面白かったです.二次大戦のスパイものは、結構、読む確率高いので、ちょっと食傷気味…。19世紀っていう時代のワクワク感に、二次大戦のスパイものよりも心惹かれる、っていうところですね。

6/02/2013

A Dangerous Fortune(YL6)

A Dangerous Fortune (English Edition) (語数165,499語)

1866年の夏の蒸し暑い日、プールで泳ごうとこっそり寮を抜け出した少年たちの一人が溺死する。奇妙な事故…。その溺死は、30年に渡る愛と裏切りの始まりだった…。

愛と裏切り、上流社会から貧困層、銀行家たち、政治の駆け引きまでをとりまく大河ドラマです。冒頭の事故シーンからすっと物語に引き込まれました。主要キャラが次々に登場するのですが、一人一人が魅力的(イイヤツも悪いヤツもさまざまですが)なのに加えて、とにかくプロットが凄い。前半もぐいぐい引き込まれますが、後半も、あそこはそうだったのか!などなど伏線の回収がめくるめくされていき、怒涛の勢いで読んでしまいました。19世紀という時代背景もいいですね。物語の冒頭からの30年あまりでかなり様変わりしていて、女性が少しずつ社会に出ていく様子や、貴族社会の「称号」、電話なども導入されていき…、といった描写もなにげなく上手にされています。

Cordova出身のMicky Mirandaが本当、悪いヤツなんですけど、最後までいいキャラでしたね。学校卒業後、一日に数時間オフィスで過ごしてお金と地位のある仕事が欲しいなーとか考えていたにもかかわらず、結局、パパが「ヤクザ」もんで、いいように使われて、国に呼び出されるのがイヤで、パパの為に奔走していたり…。自分の母親世代の友達の母親Augastaに惹かれてみたり…。Mickyのパパのパワーは凄まじいの一言ですが(なにしろ海の果て…、Cordovaにいながら、息子を操りロンドンの銀行家たちを振り回しているわけですからね)、Mickyがいるからこそ、物語はここまで面白く盛り上がるわけですからね。ラストの彼の忙しさときたら…!土壇場でのスケコマシぶりには、笑えてきました(切羽つまっている中で堂々とやるもんだな、と)。

銀行家も多く登場するので、取引や金融破たんの話なども出てきますが、19世紀くらいだとそこまでとっつきにくい文脈や用語は目立ちませんでした。YL4位を読みつけていれば、物語の面白さでささっと読める感じです。シドニーシェルダンみたいな感じですね。