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12/18/2016

Death of Kings (The Last Kingdom Series, Book 6) (YL6)

Death of Kings (The Last Kingdom Series, Book 6) (The Warrior Chronicles/Saxon Stories) (語数約117,800語)

2015年にBBC2でテレビシリーズのベースになったBernard Cornwellのベストセラーシリーズの第6巻目。

898年冬。主人公41歳、Alfredが50歳、Æthelflaed29歳になりました。すっかり主人公はÆthelflaedの半分公認の愛人になっていましたよ。家人を養うための土地もÆthelflaedが与えてくれて、それで暮らしている。

この巻ではタイトル通り、Alfredが亡くなるという事柄を中心に事態が進展していきます。

Alfred亡くなる前にDane人でありながらクリスチャンであるEast Angliaの王Eohricから同盟の誘いがWessexに対してあります。自分の死を目前にして同盟を組めるものながら組みたいという思いからAlfredは主人公を遣いとして送り出すものの、一筋縄ではいかないのがEast Anglia。East Angliaは場所柄、Dane人たちはそこを通らなくてもWessexを襲撃でき、かといって仲間にすればそれなりの訓練された兵をEastAngliaは擁しており、心強い。逆にWessexからも同様のことが言え、EastAngliaは誰からも積極的に襲撃されはしないが、仲間にすれば便利な相手。バランサー的なポジションにいて、抜け目ないEohricは常にどっちつかずにいいところどりをする、という存在だ。

East Algliaへの遣いの最中、Sigurdとも対決し、その際にやけに確信に満ちた魔女のÆlfadellの予言を聞かされ、気になりだす主人公。この"予言"も含めて、この巻は圧倒的な情報戦、駆け引き、という感じでしたね。情報を買う、売る、探る、ウラをとる、はたまたねつ造する…。

そして迎える中盤、Alfredの死。

'Wyrd bið ful āræd, lord,’と主人公はいつものフレーズ。Alfredからの返事は、

'fate is difficult. Is all ordained? Foreknowledge is not fate, and we may choose our paths, yet fate says we may not choose them. So if fate is real, do we have choice?’

辛気臭い王様だと思っていたけれど、こういうことをじーっと考えているところがAlfred王の魅力ですね。この巻では"予言"ネタも豊富ですが、fateとは…、ということを形を変えて何度も問うてきます。

そしてAlfredの葬儀の最中にAlfredの甥っ子のÆthelwoldによる反乱。…しかしアホなÆthelwoldは人気がなさすぎて失敗し、北へ逃走。しばらく平穏が続き、戦士である主人公の肩身が狭くなってきたころ(非クリスチャンだし)、Cnut、Sigurd、Haesten、Æthelwoldたちに動きがあります。裏切りモノは誰なのか。いつどこで誰が裏切るのか。

創作も入りつつ、後半まで波乱に満ちています。

Wessex王家周辺

  • Alfred…Wessexの王。病床にある。
  • Æthelflaed…Alfredの長女。Merciaを支配している主人公の従兄弟Æthelredのところへ嫁ぐ。
  • Edward…Alfredの公式長男。Æthelingとも。いまはKing of Cent。CentはWessexの一部。
  • Æthelwold…Alfredの甥。Alfredの兄の甥なので直系だったが、若すぎる&バカすぎるので王になれず、Alfredにが王に選出されたという経緯がある。
  • Steapa Snotor…Alfredに手ずから助けられた経緯もあり、とても忠実な戦士。めちゃ強い…!主人公とは古い友人。

Vikingたち

  • Sigurd Thorrson…Northunbriaのパワフルなjarl。Northunbriaの南部からMarcia北部までも支配。Ragnarの兵隊募集に惹かれてやってきた。
  • Sigurd the Younger…Sigurdの一人息子。18か19くらい。かなり傲慢。
  • Cnut Ranulfson…Northunbriaのパワフルなjarl。Britainで一番すばらしいと評判の剣士。30歳位だが白髪。冗談好き。
  • Jarl Haesten…主人公にかつて助けられたDane人。
  • Ælfadell … 北部の女魔法使い。
  • King Eohric…East Angliaの王。Dane人だけどクリスチャンなのでAlfredやEdwardたちに同盟を求めてくる。
  • Jarl Oscytel…Eohricの司令官。45歳の主人公のこと老人呼ばわりしたよね。

主人公の部下たち

  • Finan…Uhtredの最も信頼する部下。一緒に奴隷時代も過ごした。Irish。
  • Osferth…Alfredの私生児。Alfredは聖職者にしたかったけれども、戦士の道を歩む。戦いに喜びを見出している様子もないが、父親ににてマジメで思慮深く几帳面。戦士として悪くない。結婚しないなーと思っていたら、「私生児」は10世代まで呪われる、と修道士時代に教えられて、絶望しているんだね。キリスト教って本人に罪はないのに、そういうところあるよね。
  • Ludda…20にならないかぐらいのマジシャンであり、町から町を渡り歩いているため、土地に詳しい。SihtricがHuntandonまでの道案内としてつれてきた。
  • Sigunn…17歳。Hasetenたちを攻撃したときに未亡人となったDane人であり、美人なので主人公の女になる。
  • Sihtric…宿敵だったKjartanの私生児。少年時代に主人公が彼を助け、以来従者として戦士として育て上げた。
  • Father Cuthbert …Edwardが主人公に送ってきた牧師。だいぶとぼけてる。Bishop Swithwulfに教育されたらしいが嫌われてもいる。EdwardとSwithwulfの娘を結婚させたのはコイツだ…!

Edwardの女性関係…。

  • Bishop Swithwulf…CentのHrofeceastreのBishop。
  • Ecgwynn…Bishop Swithwulfの娘。Edwardが結婚したがっているがAlfredに反対されている。
  • Æthelstan…EdwardとEcgwynnとの間の双子。男の子。
  • Eadgyth…EdwardとEcgwynnとの間の双子。女の子。
  • Sigebriht…CentのEaldorman Sigelfの息子。なかなかのハンサム。EdwarがKing of Centを名乗りだしたので、Saxon人だがEdwarを嫌っている。EcgwynnもEdwardに好意をもっているし…。ÆthelwoldとDane人達の間をとりもった。
  • Æthelhelm…この人の娘がEdwardと結婚した。
  • Ælfæd…Edwardの許嫁。嫁。

その他

  • Beornnoth…Saxon。
  • Beortsig…Beornnothの息子。
  • Offa…かつてはMercianで聖職者だった。しかし今はBritain中を移動する旅芸人の情報屋。