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1/29/2017

Warriors of the Storm (The Last Kingdom Series, Book 9) (YL6)

Warriors of the Storm (The Last Kingdom Series, Book 9) (The Warrior Chronicles/Saxon Stories) (語数約12,400語)

2015年にBBC2でテレビシリーズのベースになったBernard Cornwellのベストセラーシリーズの第9巻目。

本巻は史実というより、これまでのオールキャラ総集編、みたいな感じす。

前巻でÆthelflaedを名実ともにMerciaの女王にした主人公は、本巻ではNorthumbriaとの前線であるCeasterを守っていたところから始まります。そこへ義理の息子Sigtryggrの兄RagnallがIrelandから一大軍勢を引き連れて、Ceaster周辺を襲撃。さらに彼の軍勢は北へと抜け、それに恭順を示すNorthumbriaの諸侯が加わり、Northumbriaの諸侯の盟主の一人であり、かつての恋人でもあるBridaが主人公の前に立ちはだかります。Rangall傘下には因縁のHaestenも加わり、今回もいかにも口先の巧い彼らしい立ち振る舞いで活躍しています。さらにはIrelandからの軍勢には、Finanの宿敵もおり、ここでついに彼のIrelandを追われた事情もわかってきます。兄Rangallが出てくるということは、当然、Irelandへ渡っていったRangallの弟Sigtryggrやそこへ嫁いだ娘のStiorraも再登場…、ということで今回は作者が作ったほとんど架空の人物たちメインで物語が進行していくので、あまり史実絡みの事象はありません。とはいえ、9巻まで読み進んでくると、主人公の一家はもうほとんど親戚感覚。長年の因縁の人物たちも次々と現れて決着をみせてくれる展開となると、これはもうほとんどファンサービス作品(笑)。Uhtredももう孫までできているのに、孤軍奮闘、娘たち一家もしっかり面倒見て、どえらいじーさんになっています。

主人公の周辺。

  • Father Oswald…主人公の長男。神父になったので主人公から絶縁され、長男としての名Uthredをはく奪。
  • Uhtred…主人公の次男。長男が絶縁されてしまったので、跡継ぎとして育てられる。
  • Stiorra…主人公の愛娘。Sigtryggrと結婚し、Irelandで暮らし、子どももできた。
  • Finan…Uhtredの最も信頼する部下。一緒に奴隷時代も過ごした。Irish。
  • Osferth…King Alfredの私生児。Alfredは聖職者にしたかったけれども、戦士の道を歩む。戦いに喜びを見出している様子もないが、父親ににてマジメで思慮深く几帳面。今は腹違いの妹でありMerciaの女王であるÆthelflaedの元にいる。
  • Æthelstan…King Edwardの長男。結婚に事情があったので庶子扱いされているが、主人公はWessexの正当な跡継ぎだと思って、育てている。
  • Eadith…Merciaの盟主であり主人公の従兄だったÆthelredの妾。Æthelredの死後主人公の元に。主人公がCnutに受けた傷を癒し、信頼されている。
  • Berg…18か19のNorse人。前巻で処刑寸前のところを主人公に助けられて、以来、素直に主人公に忠誠を誓っている。
  • Dudda…Ireland近海に詳しいので主人公が雇った船長。いつも飲んだくれているが仕事はする。

Mercia

  • Æthelflaed…Merciaの女王。King Alfredの娘であり、主人公とは愛人関係。
  • Ælfwynn…Æthelflaedの一人娘。あの子の頭には羽が詰まっている…、というのが母親Æthelflaedのコメント。
  • Cynlæf Haraldson…Ælfwynnの恋人?Edward王の戦士の一人だったがÆlfwynnと出会ってからGleawecestreへ移ってきた。thegnの息子。
  • Merewalh…Æthelflaedに仕える司令官。実直。
  • Father Ceolnoth…双子の神父のうちのひとり。主人公と昔から犬猿の仲。
  • Father Celoberht…双子の神父のうちのひとり。主人公に歯をおられた。
  • Bishop Leofstan…主人公のおひざ元Ceasterに着任した主教。いつもニコニコ。弱者にやさしい。Father Beoccaの教え子。
  • Gomer…Bishop Lofstanの妻。
  • Father Glaedwine…Æthelflaedに仕える聖職者。AlfredがWessexに作った学校の卒業生。Æthelflaedはもっぱら事務員として使っていたが、彼の名声は詩人であること。讃美歌などを作る。

Norse・Irish・Northumbriaの人々

  • Ragnall Ivarson…主人公の娘が嫁いだSigtryggrの兄。Sea Kingなどと名乗り船団を率いて、ブリテンで大暴れ中。かなり残虐。
  • Rorik…Ragnallの息子。9歳にならずや。母は不明。
  • Sigtryggr Ivarson…ハンサム。神に愛されていると彼の仲間は言う。主人公の娘Stiorraと結婚。
  • Conall…Finanの弟。
  • Father Haruld…Haestenをクリスチャンに改宗させたという神父。
  • Mus…EadsByrigで捕虜にした美少女。
  • Brida…主人公の幼馴染。もとはSaxon人だが、主人公同様Dane人の文化に馴染んでDane人側についてしまった。主人公の義兄弟ともいうべきRagnar亡きあと、Dunholmを支配している。
  • Vidarr…Ragnallに忠誠を誓う20代半ばのNorse人。妻が主人公たちの捕虜にされたので、Ceasterへやってきた。
  • Askatlta…Vidarrの妻。
  • Oryar Freyson…Ragnallの船長の一人。主人公と同じくらいの年頃。慎重で、出来はいい。妻子をRagnallに人質にされている。
  • Bjarke Neilson…Ragnallの船長の一人。妻子をRagnallの人質にされている。
  • Haeseten…若いころ主人公に救われ忠誠を誓っていたが、裏切り、ずるがしこい立ち回りで生き延びてきた。

1/09/2017

The Empty Throne (The Last Kingdom Series, Book 8) (YL6)

The Empty Throne (The Last Kingdom Series, Book 8) (The Warrior Chronicles/Saxon Stories) (語数約99,200語)

2015年にBBC2でテレビシリーズのベースになったBernard Cornwellのベストセラーシリーズの第8巻目。

今回は911年頃のÆthelredの死、そしていかにしてÆthelflaedへ権力は移行させていったか、という話が軸となっています。女の玉座なんて認められるか、という周囲の「常識」をいかにうまくひっくりかえすか、足を引っ張ろうとするライバルをいかに蹴落とすかを巡って話が進みます。

前巻ではCuntの剣で瀕死の重傷を主人公が負いますが、Teotanhegleの戦いでÆthelredもまた重傷を負いその傷がもとで死に至る…、という説を今回作者はとったようです。

そしてだんだん次世代が育っていきている描写が増えてきましたね。冒頭では21歳になる息子のUhtred視点の一人が語りからはじまりますし、今回はなんといっても娘のStiorra。Lundeneに彼らがいたころは父親が帰ってくると足にまとわりついてくる愛嬌のある幼子でしたが、気が付けばとても母親に似てきて父親にとってはとてもミステリアス。普段から戦場ばかり駆け巡って娘のことはÆthelflaedにまかせっきりですから、娘の考えていることは全然わからない。せっかく周囲に馴染めるようクリスチャンとして育てたつもりなのに、どうやら修道女たちに異教徒の娘といじめられて、クリスチャン嫌いとなっていてドッキリしたてみたり。でもどうやら度胸もあるし、かなり頭がまわる。ÆthelflaedはStiorraと同世代の自分の娘Ælfwynnのことを比べては、私の娘はバカ娘で困る、頭に羽でも詰まっているんじゃないかしら、とこぼして、Stiorraの賢さをうらやむほどに。

Edwardの長男であり庶子として扱われているÆthelstanはまだまだ少年ですが、長男であるが故に有力貴族から命を狙われつつも、主人公の庇護のもと、「あなたは正統な王位継承者なんだ。いずれ王になるのときのために」と主人公なりの現場主義な帝王教育を順調に受けています。王の道もまた修羅の道ですね(…Æthelstanの伝記ものがあったら読みたい程度には気になってきました)。

Æthelredの女だったEadithも今回活躍しますが(正妻Æthelflaedにとってはライバル)、Eadithとその兄Eardwulfは不思議な関係でしたね。Eadithはふんわりとしていて、運命に流されるタイプなのかもしれませんが、なんのかんのいって優しい。Æthelredはそういうところに惹かれたのかもしれませんね。そして賢いけれども女たらしすぎて女から嫌われるEardwulfは、しまいには妹を娼婦呼ばわりし、主人公が「彼女が娼婦なんだとしたらそれはお前のためだろう」ってかばうんですから…!妹が微妙に兄を諦めている感じだったのは、この性根のせいなんでしょうか。

また今回はWalesのAlfredともいうべきKing Hywelなんかも登場したり、Irelandでの凄まじい生存競争ぶりの話がNorse人Sigtryggrからでてきたりして、同時代の近場エリアの情勢がチラ見できるところも面白かったです。

ハンサムボーイのSigtryggrは再登場するんでしょうかね…?戦闘中に片目になったら自分をOrdinだ…!と笑う男って相当気違っていて面白いですよ?

主人公周辺

  • Æthelstan…Wessex王Edwardの長男であるが「庶子」の少年。双子。やんちゃ。
  • Eadgyth…Edwardの「庶子」の少女。Æthelstanと双子。
  • Uhtred…主人公の跡継ぎ。次男だったが長男が聖職者になってしまったので、Uhtredの名前を受け継ぐ。
  • Stiorra…主人公の末娘。今は亡き最愛の妻Giselaに似てきてツライ。17くらい。
  • Finan…Uhtredの最も信頼する部下。一緒に奴隷時代も過ごした。Irish。
  • Osferth…Alfredの私生児。Alfredは聖職者にしたかったけれども、戦士の道を歩む。戦いに喜びを見出している様子もないが、父親ににてマジメで思慮深く几帳面。
  • Rædwald…かつてÆthelflaedの護衛官を破っていて今はUhtredの補佐官。慎重派。
  • Godric Grindanson…Uhtred の従者。12歳。
  • Gerbruht…大食漢。頭は少々鈍いがガタイの良さを生かしてパワフル。父親は神父だったようで、子どもの頃、父について各地へ巡礼している。
  • Berg Skallagrimmrson…Rognavaldの手下だった少年。ちょっと息子のUhtredに似ていたので、気になって主人公が処刑される直前に助ける。
  • Father Cuthbert …Edwardの秘密の結婚式を挙げた神父。唯一の生き証人なので主人公にEdwardから託された。今は盲目。
  • Mehrasa…FatherCuthbertの妻。元奴隷。Cuthbertが美貌に惚れ込み結婚。
  • Ingulfrid…Osferthの女に。もともと主人公の従兄のUhtredの妻だったが、主人公がさらったのでBennanburgに戻ってもどうせ不貞を疑われて殺されるので、戻れなくなった。

Mercia

  • Æthelred…主人公の従兄でMerciaの盟主。
  • Æthelflaed…Alfredの娘。Wessex王Edwardの姉。Æthelredの正妻。主人公と浮気。
  • Ælfwynn…Æthelflaedの一人娘。Uhtredより少し若い。幼馴染で周囲からはUhtredと結婚すればいいのに、と思われている。
  • Merewalh…Æthelredの部下だったが見捨てて、今はÆthelfleadの忠実な戦士。
  • Eadith…Æthelredの女。
  • Eardwulf…Eadithの兄弟。ハンサムで賢い。Æthelredの軍隊の司令官。
  • Bishop Wulfheard…Gleawecestreにいる司教。もともとHerefordの司教だった。主人公を嫌っているのでÆthelredのお気に入り。前巻では主人公をMerciaから追い出そうと、主人公の領地Fagranfordaの小屋を焼き払ったりしている。
  • Father Penda…Bishop Wulfheardの部下だが、主人公とは関係がある。

Wessex

  • Æthelhelm…Wessex王Edwardの義理の父。Ealdorman。大男。娘はEdwardの妃。Edwardにつぐ金持ちで彼の私兵はWestSaxon軍の中で三番目に大きい。Edwardの相談役。
  • Ælfweard…Æthelhelmの孫。
  • Brice…ベテラン兵士。たいていÆthelhelmの旗のもとで戦っている。

Wales

  • Bishop Asser…主人公と険悪の仲だったWales出身の司祭ひとり。Alfredからの信任が厚かった。Alfredの死後、Æthelhelmのおひざ元のScireburnanで司祭に収まっていた。
  • King Hywel…Twddewiあたりを支配しているWalesの王。
  • Father Edwyn…Twddewiにいた神父のひとり。Scireburnan出身でSaxonの言葉を話す。Bishop Asserと一緒にこの地へきた。
  • Anwyn…King Hywelのチーフアドバイザーであり聖職者。Saxonの言葉を話す。

Norse

  • Ivar Imerson…アイルランドで悪名高い海賊。しかしIrishも同じくらい狂暴なので、彼をかなり押しだしている。
  • Sigtryggr Ivarson…Ivarの息子の一人。20かそこからでハンサム。神に愛されていると彼の仲間は言う。

1/02/2017

The Pagan Lord (The Last Kingdom Series, Book 7) (YL6)

The Pagan Lord (The Last Kingdom Series, Book 7) (The Warrior Chronicles/Saxon Stories) (語数約99,200語)

2015年にBBC2でテレビシリーズのベースになったBernard Cornwellのベストセラーシリーズの第7巻目。

今回の最終的な舞台は910年Teotanheale(Tettenhall)の戦い。Tettenhallで戦いがあったということとそこでWessex・Merciaの連合軍はDane人に勝ったという以外、詳細不明の戦いで、作者があとは妄想力で補完している話となります。

ブリテン一の剣術遣いCnutの仕込んでいる策略は相変わらず複雑に入り組んでいてい、49になってもいまだ脊髄反射で動きがちの主人公はその穴にハマり込み…。いかにしてワナだったということに気が付き、反撃に出るかというところは、作者の妄想とはいえ十二分に読み応えアリ!

Edwardの長男Æthelstan(「庶子」なので主人公が育てている)は、8歳ながら主人公に臆する気配もなく結構ヤンチャな感じがでていて将来性を感じる一方で、主人公の長男Uhtredはやっぱりというか聖職者になりたいと言い出す始末。Bebbanburgの領主としての意識の強い主人公がそれを認められる筈もなく、縁を切り、嫡男としてのUhtredの名前をとりあげ、末息子OsbertをUhtredと名乗らせて嫡男としたり…。そんな末息子も今回はじめてのShieldWallに参加して戦士の片鱗をみせつつ、やっぱりクリスチャンなんですよね。

異教徒の主人公は周囲がほとんどクリスチャンで本当に生きにくい…!誤解されまくりで気難しい男だと言われるけれど、愛人のÆthellfeadだけは主人公のある種の単純さ気質をよく理解している。

それからAlfredの長男Osferthにもついに恋の季節が…!彼はAlfredの庶子で敬虔なクリスチャンだからこそ、自分は生まれた時から罪深いと絶望していてこれまで浮いた話のひとつもありませんでした。こんな生まれた時からどんな努力しようもなく罪の烙印を押し付ける教えって残酷だな、とOsferthを見るたびに心で泣いてましたが、次巻ではどうなっていますでしょうかね。

主人公の周辺。

  • Uhtred…Alfredの元で幼少期を過ごし聖歌隊になんかも参加しちゃってついに聖職者になりたいと言い出した主人公の長男!主人公に息子じゃないから今後Father Judasを名乗れと言われる。
  • Osbert…主人公の末っ子。19歳。かなり厳しく育てた。長男が絶縁されたのでUhtredを名乗ることに。
  • Stiorra…主人公の末娘。16位かな?
  • Æthelstan…KingEdwardの長男。8歳。
  • Father Cuthbert…主人公のところの神父。Edwardが主人公に送ってきた牧師。
  • Finan…Uhtredの最も信頼する部下。一緒に奴隷時代も過ごした。Irish。
  • Osferth…Alfredの私生児。Alfredは聖職者にしたかったけれども、戦士の道を歩む。戦いに喜びを見出している様子もないが、父親ににてマジメで思慮深く几帳面。

Mercian

  • Æthelred…主人公の従兄でMerciaの支配者。
  • Æthelflaed…Alfredの長女。Merciaを支配している主人公の従兄弟Æthelredのところへ嫁ぐ。が、半ば黙認状態で主人公が愛人。
  • Eadith…Æthelredのお気に入りの美女。Merciaの王妃になりたがっている。
  • Eardwulf…Eadithの兄。Æthelredの私兵の司令官。20代。
  • Merewalh…Æthelredの部下だけど、主人公と仲は良い。いつも前線の汚れ仕事ばかりやっている。
  • Ælfwynn…Æthelflædの一人娘。

Bebbanburg

  • Ælfric…Bebbanburgの領主。主人公の叔父。
  • Uhtred…Ælfricの跡継ぎ。Bebbanburgの正当な支配者のつもりなので、Uhtredを名乗っているわけですね。
  • Ingulfrid…従兄弟のUhtredの妻。Dane人で美女。
  • Osbert…従兄弟のUhtredとIngulfridの間の子で本人たちは直系におさまったつもりなのでUhtredだけど、主人公に改名させられる。主人公からしたら自分の息子が直系で、傍系だし。
  • Hoskuld Leifson…Ingulfridの父親。Sigtryggに仕えている。
  • Sitrygg…Norsemanの戦士。アイルランドに王国を作っていたけど、競争激しい土地柄なので追い出さてCumbralandにいる模様。

Vikingたち

  • Cnut Ranulfson…若い頃から白髪なNorthumbriaの支配者。いまは40位。賢く無慈悲。IceSpiteという剣をもってて北から南まで恐れられている。
  • Sigurd Thorrson…Northumbriaの支配者。主人公が息子を殺しているので恨んでいる。
  • Frigg…Cnutの妻。かつてのErce。超絶美人。
  • Cnut Cnutson…CnutとFriggの双子のうちの息子。6才。
  • Sigril…CnutとFriggの双子のうちの少女。
  • Jarl Haesten…主人公にかつて助けられたDane人。今はCnutの靴をなめている状態だけど、かなり貪欲。