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7/28/2013

Sarah, Plain and Tall (YL3)

Sarah, Plain and Tall (Sarah, Plain and Tall Saga) (語数8,251語)

1910年、カンザスの農夫Jacobは、「花嫁求む」という新聞広告を出した。返事をよこしたのは海辺に住むSarahという女性。これまで兄と一緒に暮らしていたが、兄が嫁をもらうこととなり、自分の居場所はここにはない、と思い立ち、応募してきたという。Jacobには二人の子どもがちて、二人は自分たちの母になるかもしれないSarahに手紙を送る…。

Ψ

なかなか長閑な短編でイイ。

継母が来るのってこんなに子どもにとって楽しみなことかしらね?…と思いはしたものの、新聞広告で募集して手紙でのやりとり…、海の景色がみえてきそうなSarahからの素敵な返信。なーんだかウキウキするんですよね。大草原の小さな家みたいなテンポ。

表題作は短編で、Kindle版は他の巻の1章がやたら詰め込まれていて、あぁ、こーゆー展開になっていくのねー、というのがわかり、正直結構気になります。短いのでコスパはよくないですけどね…。

7/24/2013

The Sky is Falling(YL6)

The Sky is Falling
The Sky is Falling
posted with amazlet at 17.03.20
HarperCollins (2012-06-07)

The Sky is Falling (70,808語)

もしもアメリカにロイヤルファミリーがいるとするなら、Taylor Winthropsこそが王冠をかぶっていたであろう。

人気があり、カリスマのあるWinthrops一族。さまざまな公的仕事やチャリティーを行っている魅力的な一族。しかしわずか一年の間に一族5人全てが、一連の事故で亡くなった。美しい女性キャスターDana Evansは、事件に興味を持ち、調査を始めた。

Ψ

面白かった…!

「The Best Laid Plans」での準主役Dana Evansが、本作の主役。Dana Evansがどういう女性か、また彼女をとりまく人々も前作を読んでいた方が、わかりやすいのではないかなぁとは思います。しかし本作だけでもストーリーは十分成立する、という構成になっています。「The Best Laid Plans」はパーツ単位では面白かったものの、全体像がぼんやりしていました。しかし今回は1つの作品としてまとまっています。

事故にみせかけた連続殺人事件なんだろうなぁ、と思いながら読んではいたものの、まさかまさかのモスクワでした。Author's Noteで空想じゃなくてそこは実在、となっていてちょっとビビりました。でも冷戦崩壊後って、そうだったかも…、と遠い記憶をほりおこしてみたり。

英文はあいかわらずサクサク読みやすいです。私は児童書よりもKen FollettやSidney Sheldonの方が正直なところ、読みやすいと思う作品が多いですね。

7/20/2013

Finding Hannah(YL5)

Finding Hannah (English Edition) (語数55,000語)

ニューハンプシャーに住む主人公のDylanは15歳。彼が1階でうたたねをしている間に、2階の自室にいた姉のHannahが誘拐された。

何週間かボランティアなどによって、森の中での彼女の捜索が行われたが、手掛かりはない。Dylanはボランティアの捜索に参加していた同い年のMollyと知り合う。大規模な捜索が打ち切られた後も、あきらめきれないDylanは、Mollyと二人、森の捜索を続けることにした。

Ψ

日本だと今のところKindleオンリー本ですね。YAになりますが、オススメです。

15歳でこんなにトレッキング知識豊富でしっかり計画をたてて姉を捜索できるか?──とは思いますが。Mollyと二人、支えあって乗り越えていくところがなんといっても読みごたえあります。

結構悲痛なシーンも多いのですが、物語はひっぱるし、英文自体もやさしめなので、没頭して読みました!いろいろいうとネタばれになるので切り上げます!!

7/15/2013

The Best Laid Plans(YL6)

The Best Laid Plans
The Best Laid Plans
posted with amazlet at 17.03.20
HarperCollins (2012-06-07)

The Best Laid Plans (語数100,000語)

広告代理店に勤めるLeslieは、Oliverの選挙キャンペーンの仕事を引き受ける。ほどなく二人は恋に落ち、結婚直前までいく。しかしOliverは直前でLeslieを裏切り、権力者の娘と結婚し、大統領へと続く政治家としての道を歩み始める。Leslieは復讐を誓い、復讐の手段としてメディア帝国を作ろうとするのだった…。

Ψ

主役はLeslieの筈だと思ってたんだすけど、どうなんですかね?

準主役的Danaのエピソードが、Leslieの復讐エピソードとあんまり絡まないんですよね…。Danaはアナウンサー/レポーターとして活躍する女性です。彼女の子供時代、就職の経緯、ユーゴ紛争の通信員としてのエピソード。大胆な行動力はあっけにとられるほどで面白く、ユーゴ紛争の話などもかなり面白いのです。しかしここまでDanaのことを細かく描いていながら、本編と思われる復讐エピソードとの絡みが少ないのですよ。別々の話でもよかったんじゃない?という感じ…。

本編は本編で、最後に”あぁそうか!騙された!言われてみれば、仕掛けはあった!”と膝を打つ感じで、最後のどんでん返しにはまんまと騙されたクチなので、面白かったんですが、個人的にはパワフルなDanaのパートが一番面白かったですね。ユーゴ紛争の時期だし、Oliverは元弁護士だしどうも下半身緩いし…、Oliverはクリントンあたりをイメージして描いたのかな?とか勝手に想像しながら読みました。

というわけで、どうやらこのDanaが主役らしい「The Sky Is Falling」も気が向いたら読んでみようかなー、と思っています。

英文は優しいです。中身は薄いので、気楽に読めますしね。「The Great Gatsby」で砂を噛む思いの直後だったので、なおさら!

また以前読んだシェルダンの「Rage of Angels」よりも簡単だと思います。大統領と強く賢い女性がメイン、ってところで本作とも似ているところがありますが、向こうは弁護士さんですからね。法曹界ワードみたいなのがちょっとハードル高め。ただストーリー自体は「Rage of Angels」の方が説得力があって面白いと思います。

7/13/2013

The Great Gatsby(YL8.0)

The Great Gatsby (English Edition)
Numitor Comun Publishing (2010-11-25)
(語数49,089語)

ロングアイランドのギャツビーの豪邸ではしばしばゴージャスなパーティーが行われていた。ギャツビー邸の隣へ引っ越してきてからほどなく、ニック・キャラウェイの元にパーティーへの招待状が届く。パーティーに参加してみると、自分の他には招待客はおらず、どうやら皆、勝手にパーティーへ参加しているようだ。パーティーの参加者にギャツビー自身を知る人は少なく、彼は謎につつまれている。彼がパーティーを開いている目的はなんなのか?何故、自分の元にだけ招待状が届いたのか?

Ψ

というわけで、ギャツビーです。リトールド版でも一応読んでいるんですが、名作、名作と言われているわりにピンときませんでしたね。レオナルド・ディカプリオ主演の『華麗なるギャツビー』もみてきました。そこでようやく面白いかも…、と思えました。というわけで原作トライです(Kindle版安いし…)。

だがしかし。華麗なる詩的っぽい英文のハードルは高かった。特に最初の数ページ。私は意味わかっているのか?──という状態です。その山を越えるとぐっとレベルが下がることはわかるんですが、それでも難しいです。映画をみた直後から読みだしたので、あのシーンだな、と思い浮かべることはできましたけれども。そしてバズ・ラーン版ギャツビーは意外とかなり原作に忠実だったんだな、ということもわかりました。後半戦のバタバタでギャツビーの父親のシーンなどは割愛されていたものの、科白などもかなり忠実に再現してたんだなぁといいうあたりは確認できて面白く感じて、映画の勢いを借りてなんとか通読。…とはいえ、私にはハードルが高かったです。とほほ。

7/01/2013

The Kite Runner(YL6)

The Kite Runner
The Kite Runner
posted with amazlet at 17.03.20
Bloomsbury Publishing (2009-02-24)

The Kite Runner (語数106,895語)

1975年、12歳のAmirは地元の凧揚げ大会での勝利を熱望していた。彼の親友Hassanは彼を助ける、と約束していた。しかしその日の午後、Hassanの身に起こることを少年たちは予想もしていなかった。その事件の後、二人の仲は疎遠になっていく…。ロシアがアフガニスタンへ侵攻してきた後、Amirの家族はアメリカへ亡命する。アメリカでの生活も安定し、作家として成功しはじめたAmirの元に、ある日、昔の知人から電話がかかってくる。そして彼はとある少年を探しに、タリバンの支配する故郷へ戻るのだった…。

Ψ

アフガニスタンのことをほとんど知らなかった私ですが、歴史的事件や民族・宗教のこともある程度わかるように書かれているので、背景を知らなくて困る、というようなこともなく読み通せました。英文もやさしめだと思います。

アフガニスタンと物語の主な流れ

  • 王政時代
  • 1973:クーデターが起こり王政廃止。
  • 1979:ソ連による軍事介入。
  • 1981:Amir達がアフガニスタンを脱出。
  • 1989:ソ連撤退完了。
  • 1996:タリバン、カブール占拠
  • 2001:Amirが帰郷するキッカケの電話を受け取る

構成は大雑把にいって、アフガニスタンでの幼少期の思い出、アメリカに亡命してから結婚して落ち着くまで、そして再び故郷アフガニスタンへの「旅」という3部構成です。

Amirは父子家庭で、同じく父子家庭の親子Hassanたちと暮らしています。HassanたちはHazara人(モンゴル系でシーア派というマイノリティ)で、Amir一家の住み込みの召使という立場です。ただし、親子2代にわたって乳兄弟のようにして育っているから非常に親しい。

ソ連が侵攻してくる以前のアフガニスタンでの暮らしぶり(但し裕福な家の…!)などは、著者の思いれもあるのでしょう、丁寧に描かれていて心惹かれます。Amirの父親はかなりのやり手実業家で、夢見がちなAmirと今ひとつうまくいかない、自分が生まれたときに母親が亡くなってしまったから、父は自分を憎んでいるのではないか、とまで少年Amirは考えるわけですが、後半、父の秘密が明らかとなり、父の気持ちもわかってきます。

今や作者はアメリカで生活しているので、外国人にも理解しやすいですね。アフガニスタンでの考え方なども、アメリカでの考え方を踏まえた上で描写しているので。とはいえ、アメリカへ亡命した作家が書いた物語である、ということを忖度しないと、タリバンの描写などは不公平になるような気がしています。タリバンによるHazara人虐殺一つをとっても、それ以前から迫害の歴史はあったわけですから。タリバンよりも他の派閥の方が良かった、という話にはならないということです。※ハザラ人への迫害者はタリバーン政権だけではない

タリバン・サイド側からの物語も読みたいですね。