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2/09/2017

Who Was Ferdinand Magellan? (Who Was?)(YL3)

Who Was Ferdinand Magellan? (Who Was?)
Grosset & Dunlap (2004-08-03)

Who Was Ferdinand Magellan? (Who Was?) (語数約8,289語)

マゼラン海峡のマゼランの伝記。GRみたいな読みやすさなのでタグはGRをつけています。とはいえ、歴史本なので単語はちょっとクセがあります。

もっと意気揚々とした人生を送った人物かと思いきや、なかなか過酷。コロンブスが新世界をみつけ、ポルトガルのヴァスコ・ダ・ガマがアフリカ大陸を経てのインドへの航路を発見したりする大航海時代に生まれた彼も、自分自身で新航路をみつけたいと願っていました。マゼランは西周りで東洋の香辛料が豊富な島々へたどり着けるのではないかと思っていたわけです(当時地中海にはどーんとオスマン帝国があり、そこを通るには高い通行税を払わないといけませんでしたから、欧州勢はなんとか地中海を避けて東洋と貿易できないかとルートを探していたわけです)。

当初彼はポルトガル宮廷に仕えていましたが、王との相性が悪く、出世もみこめないので、スペインの王の援助を求めます。しかしまぁポルトガルの王がそれに嫉妬し、航海は出向前からトラブル含み…。それでも鉄の意志(神を強固に信じていた様子)で、マゼランは5隻の船団をひっぱっていきます。ラテンアメリカの東海岸沿いに南下しながら「海峡」探しをするわけですが、大きな川と海峡の区別はいちいち調べなければ区別がつかないわけで、難航。そのうち冬になり、越冬したり、パタゴニアでは巨人に出会ったり…(パタゴニアンの話は初めて知りました。ちょっと調べると、3mサイズというのは船員たちのホラ話で、2m弱程度じゃないかということですが…。イギリス人航海士三浦按針とかの報告にも出ているみたいですね)。

規模もわからない広すぎる太平洋をひたすら西へ航海しているうちに、船員たちはビタミン不足で次々壊血病などで倒れる中、マゼランだけは平気そうだったなど、興味深さとある種の冷徹さ、信仰の強固さなど、思いをはせたくなるエピソード満載でした。そうして世界一周を果たした船団ですが、コストがかかるわりに利益がないと当時は打ち捨てられていたんですね。

イラストも沢山ついていて、このコンパクトさで情報量満載!近頃この時代に興味をもっているわけですが、周辺情報のビギナー本としてこのシリーズはお手頃ですね。

2/05/2017

The Flame Bearer (the Last Kingdom Series, Book 10) (YL6)

The Flame Bearer (The Last Kingdom Series, Book 10) (語数約148,800語)

2015年にBBC2でテレビシリーズのベースになったBernard Cornwellのベストセラーシリーズの第10巻目。

いよいよ主人公長年の夢、故郷Bebbanburg奪還の展開へ。

強固な城塞都市であるBebbanburg奪還は、焦る必要もないので、包囲戦を考えていた主人公ですが、そこは従弟もさるもの、Norse人のEinarたちを雇い、主人公たちを追っ払おうとしたり。それとは別口でなかなか手ごわいScotsの王ConstantinがBebbanburgをかすめ取ろう動いたり。Merciaの女王Æthelflaedとは前巻で、主人公のお膳立てでうまいこと条約を結べた義理の息子Sigtryggrですが、今度は南方からSaxonたちが進軍してきてたり…。頼みのÆthelflaedもどうやら本巻は917年頃の設定なので、死に至りつつあり…。

周囲は敵だらけ、わずかな部下たち。これまでSaxonやMerciaとともに戦ってきた主人公ですが、Alfredの息子EdwardやÆthelflaedらとは近しい思いを抱きつつも、だんだんと対立を深めてきます。義理の息子がpaganですから、ある意味、しょうがないですね。

本巻でもグイグイ話は展開されて、あの伏線がここで回収されて、そっちの話は実はそうだったのか!という見事さでシリーズ全体の伏線もだいたい回収されたんじゃないでしょうか。話としては一区切りに思えますが、Historical Noteを読むと、より大きな野望、Englishを話す人々が一つの国となる野望は達成されていないので、Uhtredが何を考えているかによらず、彼の話もまた終わらないのである、というような気になる一文がありましたので、続刊するのかもしれません。もっともこの野望は主人公というより、Alfredの夢だったわけですが…。

もういい加減Finanともどもじいさんなので、甲冑を着て走り回るのには無理があるんじゃないかと思いますが…。もっともシリーズ後半、彼が歳を取ってからの方が、より剣のテクニックを丁寧に描写されるようになって、体力をテクニックでカバーしているんだなぁ、という感じは強まっていますけどね。いずれにせよこのシリーズは相当楽しみましたので、続刊するならそれはそれで楽しみですが、新刊は年内にでるのでしょうか。ここまできたら年内に出てほしい…。

主人公の周辺。

  • Æthelflaed…Merciaの女王。King Alfredの娘であり、主人公とは愛人関係だった。
  • Sigtryggr…主人公の娘Striorraの夫。Eoferwicを有し、Northenbriaの王に収まろうとしている。赤い斧の旗。
  • Finan…Irelandの戦士。主人公とは若いころから苦楽を共にし、親友であり片腕。視力がとてもよく、素早い剣技。
  • Berg…主人公のところにいる若手戦士。主人公に命を助けられ、恩義を感じている。頬にオオカミの入れ墨を入れているが、なんでブタのマークをつけているのかと仲間内でからかわれている。
  • Rorik…Ragnallの息子だが、主人公が引き取り、主人公の従者になった。
  • Swithun…West Saxonの若い家臣。天使のような微笑みを浮かべるけど、結構狡猾でスリ並の早業。
  • Gerbruht…大男で力持ちだけど、頭はあまりよくない。でも忠実。
  • Kettil…潔癖症なDane人の若手戦士。オサレ。
  • Eadith…元Merciaの盟主Æthelredの女だが、今は主人公の妻。
  • Father Eadig…Eoferwicから来た神父。
  • Archbishop Hrothweard…Eoferwicの大司教。WestSaxon人。Lindisfarenaを再建したがっている。
  • Ieremias…キチガイじみてるからBishop。Dane人。Dagfinnrという名前でかつて主人公の義兄弟だったRagnarに仕える私兵だったが、ある時期から神からの天啓をうけたとばかりにIereminasと名乗りはじめた。Dunholmの支配者である主人公から古い砦のあるGyruumを借りている。

Wessex

  • King Edward…Wessexの王。40台前半。
  • Æthelstan…WessexのKing Edwardの長男。秘密の結婚の結果生まれた子どもなので、庶子扱いされている。王になる可能性もあるので、次男Ælfweard王子の祖父Æthelhelmから命を狙われており、長年主人公や、Merciaの女王であり叔母でもあるÆthelflaedの庇護のもと過ごしてきた。現在22か23。
  • Ælfweard…Æthelhelmの孫。King Edwardの息子。まだ14歳にも満たない。
  • Æthelhelm…King Edwardの義理の父。跳ねている牡鹿が旗。
  • Ælswyth…Æhelhelmの末娘。13、4位。
  • Brice …Æthelhelmに忠誠を尽くす兵士。戦闘能力はあるけど、頭はあまり良くない。
  • Father Herefrith…Æthelhelmに仕えていた元戦士の神父。
  • Bishop Wulfheard…Herefordの司祭だが、ほとんどWessex王の側で過ごしている主人公にとっての長年の天敵。頭がまわってやりにくいが、女好きという弱点が…。
  • Brunulf Torkelson…WestSaxon。Torkel Brunulfsfon の息子。Hornecastreの古いローマの砦に居座っている。住んでたDane人達を殺しはしないけど、全員追い出してる。

Bebbanburg側

  • Waldhere…主人公の従兄弟の軍司令官。長年手ごわいScotsと戦ってきた。
  • Einar Eglison…ドラゴンの旗。Norse人。主人公の動きに不安になった従兄弟が新しく雇った戦闘員たちのリーダー。30代位。

Scots

  • King of Alba…Scotlandの王。Constantinとも。
  • Cellach mac Causantín…Alba王の息子。20歳。