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9/27/2014

Say Goodnight, Gracie

Say Goodnight, Gracie
Say Goodnight, Gracie
posted with amazlet at 17.03.20
HarperCollins (2013-08-13)

Say Goodnight, Gracie (語数41,700語)

離れて生きていくことなんて想像できない友だちだった。

MorganとJimmyはそれこそ赤ん坊の時から一緒に過ごしてきた仲だった。夏の暑い日々には、ポーチをぐるぐる一緒にまわっていた幼馴染のふたり。

そのまま彼らはずっと友達としてすごし、いまでは互いをよく知りつくしている。なんだって一緒にやっていた。学校が終わった後の放課後も一緒に町へでかけてそれぞれダンスオーディションや俳優のワークショップにいそしんでいた。

彼らは遠慮なく言いたいことを言い合った。それができる完璧な友情。ベストフレンド。

しかし人生はどうしてこんなにしっくりきたり、おかしくもなったりもするのだろうか?ひどい事故の後、Morganは突然ひとりで人生に向き合わなければならなくなった。Jimmyがそばにいないということ。それはつまり彼女の最高の部分が死んでしまったようなものだ。どうして愛はこんなにつらいのだろうか?

Ψ

母親同士も親友で、生まれた時から友達だった。ある日、事故で片方が死んでしまう。

事故以前の二人の話も結構詳しく描かれていて、こんなに相手に遠慮なく依存しているのって…、と思うところもあり、そこまでどっぷり二人の関係を肯定的にみていたわけではありません。が、二人の周りの人々のセリフにジーンとくる部分は多かったですね。Morganを見守る彼女の両親そうだし(特に父親…!とても穏やかだし)、Jimmyの母親の立ち直ろうとする様子。それに精神科医の叔母。同級生のJodyもなかなかの大人で。悲しみにのたうちまわっているMorganのまわりをしっかりささえてくれる彼らの存在にほっとするし、セリフひとつひとつがいいんですね。

というわけで前半はそれほどのめり込めず、後半はいろいろ気になるセリフやシーンが増えて加速して読めました。英文はわりと平易だと思いますよ。

9/23/2014

Magic Tree House: Books 5-8 Ebook Collection: Mystery of the Magic Spells(YL3)

Mystery of the Magic Spells (A Stepping Stone Book Box set)
Random House Books for Young Readers (2013-12-18)

Mystery of the Magic Spells (A Stepping Stone Book Box set) (語数20,653語)

  1. Night of the Ninjas
  2. Afternoon on the Amazon
  3. Sunset of the Sabertooth
  4. Midnight on the Moon

タドキストのメジャーどころ、Magic Tree Houseの#5~8までがセットになっているKindle版です。個別に購入するよりまぁお安いのでこちらをチョイス(←本ブログにのせていますが、過去に1~4までは読んでいます)。

「Mystery of the Magic Spells」という副題がついている通り、Magic Tree Houseの主、Morganに呪いがかけられて、JackとAnnieの二人が彼女を助けるために奔走する展開です。#5~8でちょうど救出劇がはじまって終わるという区切りのいいセットになっています。

月まででかける8巻が一番情報量も多くて、物語的にもケリをきちんとつけているので、充実していたかなぁと思います。

若干情報量的に内容が物足りなさを感じた6巻Afternoon on the Amazonでは、最後にJackが素敵な科白を言っています。

You don't have to love them,

Just leave them alone.And they won't bother you.

地球上にはさまざまな生物が住んでいるわけですから、ホント、お互い干渉しあわずに生きていければいいですよね。

9/22/2014

Son (Giver Quartet)(YL5)

Son (The Giver Quartet) (The Quartet Book 4) (English Edition)
HarperCollinsChildren’sBooks (2014-07-31)

Son (The Giver Quartet) (The Quartet Book 4) (English Edition) (語数76,096語)

皆は彼女をWater Claireと呼んだ。嵐の後、彼女は岸辺に打ち上げられていたから。

彼女が岸に打ち上げられたとき、だれも彼女がどんなコミュニティからきたかを知らなかった。

感情も、色も存在しない世界。彼女が13才で「器」となった世界。彼女が14才で「製品」を生んだ世界。彼女からそれをとりあげてしまった世界。そんな世界は人々の想像を超えていた。

しかし彼女はとりあげられた「製品」──息子に愛情を持ちはじめる。ただ一人、彼女だけが、そのコミュニティの中で密かにわが子に対する愛情を抱きはじめる。息子を追い求めてある日、彼女はとある船へ乗り込むが、船は嵐に巻きこまれ、彼女は記憶喪失となる。

打ち上げられた岸辺の付近に住む人々に助け出された彼女は、新しいコミュニティへも次第に溶け込んでいった。かつてのコミュニティのことも忘れ、息子のことさえも忘れさったかにみえた。しかし、そんなことはありえなかった。記憶を取り戻した彼女は、想像を絶する犠牲を払ってでも、彼女の息子への思いをとめられないのだった。

Ψ

というわけで最終巻です。ヒロインのClaireが生まれた世界は、1巻The GiverのJonasと同じコミュニティです。ヒロインはJonasの妹がなりながっていたBirthmotherで、Jonasが救い出した赤ん坊の母親なので、The Giverよりも少し前の時代から第4巻はスタートします。

この4巻で一気に1巻~3巻までがつながってきます。1巻で少し話題になっていたBirthmotherたちの施設での暮らしぶり、Jonasも与えられた錠剤の秘密、そして3巻でJonasたちの村に現れた謎の男、Trademasterとは一体なんだったのか…。「物語」としては、きれいに伏線を回収してエンディングを迎えます。

きれいに伏線を回収しているし、悪くもない終わり方ですが、ただ私は、1巻や3巻で現実世界の投射を物語の中にみて、一体、Jonasたちは今後どういう未来を築いていくのだろうか?などと思ってしまいました。そういう意味では、Trademasterとの対決という形で物語のエンディングを迎えたことは、少し残念でしたね。Trademasterという「目に見える形の敵」を作って物語を回収した、といった印象です。答えのでない問題であり、私たちが常に意識していないといけない類の問題ですから、下手な解決方法の提示よりも作家としては「正直」なエンディングかもしれません。

英文についてはシリーズもので世界観をつかんでいる分だけ、ラクに読めると思います。ただ語数はこれまでよりもずいぶんあります。特に3巻は少な目だったので、特にそう感じました。

それにしても、途中、Claireがあんなマッチョな展開になるとは思いませんでしたよね!

※Giver Quartetシリーズ、ブログ内リンク

  1. The Giver
  2. Gathering Blue
  3. Messenger
  4. Son

9/13/2014

Messenger(Giver Quartet)(YL5)

Messenger (The Giver Quartet) (The Quartet Book 3) (English Edition) (語数36,627語)

奇妙な変化が村の中では進行していた。

かつてユートピアだったコミュニティは、よそ者を歓迎していた。そもそもこの村の住人たちの多くは、よその村からの追放者たちの集まりだ。この村で生まれ育った者もでてきたが、多くはなんらかの事情があってよその村からやってきたものたちだ。お互いをいたわりあって、コミュニティを形成していた。

しかし村はまもなくすべての部外者に対して閉鎖するという決議をとった。これ以上、移民を負担することはできない。川からとれる漁獲高も減ってきたし、お互い噓をつかない、盗まない、助け合うといった村のルールを新参者のよそ者に対して"教育"するコストもばかにならない。よそ者を受け入れるメリットはどこにあるのか?

村の周囲は深い森だった。森には野獣こそいなかったが、森からの「警告」を受けたものが森に分け入ると、森に殺された。森からの「警告」は鋭い小枝での攻撃、刺してくる虫、有毒植物などのケガといった形であらわれる。

Mattyは危険なその森を通って旅することができるごくわずかなもののうちの一人だった。彼は森から好意を受けているようで、何度となく無事に森を潜り抜けていた。結果として、Mattyは点在する他のコミュニティへ、村の決議の結果を伝えるメッセンジャーとなる。それと同時に、村の閉鎖前に、Seerの娘でありMatty自身の幼馴染でもあるKiraを、説得して村へ連れてくることをSeer自身からも頼まれた。しかし指名を受けたMattyがいざ森へ入ると森は敵意をみせた。果たして彼は村の閉鎖前に、KiraをSeerの元へ連れてくることができるのか。

Ψ

ようやくこの3巻で、1巻と2巻の物語がつながりました。この村の中で1巻の主人公Jonas は"Leader"と呼ばれているようです。

盲目の人Seerは、2巻のヒロインKiraの父ですし、Mattyはあの犬を連れて回ったいたずら小僧のMattですね。

前半はかなり面白く読みました。1巻や2巻で出てくる残酷なよそのコミュニティの様子を知っているだけに、2巻ではKiraの父が世話になっている村はまさにユートピアに見えました。そして実際、この村はユートピアだったのです。1巻からこのシリーズにつきあっている読者にとっては、JonasはLeaderとしてこんな村を作っていたのか、と感慨深いものがありました。しかし、そのユートピアでさえも、世代交代もしてないというのに、移民排斥の動きを見せます。

移民排斥──どうしたってリアルな世界でのEUのことを連想してしまいます。或いは独立の動きをみせているスコットランドのこと(独立した方が経済的に得なんじゃないか、小さな枠組みの方が自分たちの意見がより反映されやすい民主主義になるのではないか等々が議論の要のようですね。アンチグローバリズム的な側面を感じますが、この押し寄せるグローバルの波の中でリアル世界ではそんなことが可能なのか?など。小説の中では森に囲まれているという独立性があるので、一種の島国根性でやっていけるかもしれませんが)。

一体、Jonasたち村人はこの問題にどういう結論を出すのでしょうか?期待したいと思う一方で、現実問題をふりかえっても、そうそう安易に出る答えではありません。

ここで村が閉じてしまえば、結局、ユートピアは存在しない or 閉じた世界でしか「ユートピア」は完結しない、ということではないのか?etc…。

しかしこの巻では、未決着のまま、衝撃のラストを迎えます。あの優しいいたずら小僧が…、という感じで、ちょっと消化不良気味なのですが、4巻では一体どんな展開が待っているのでしょうか?

※Giver Quartetシリーズ、ブログ内リンク

  1. The Giver
  2. Gathering Blue
  3. Messenger
  4. Son