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5/21/2016

Viking Sworn Brother (Viking Trilogy) (YL7)

Sworn Brother (Viking)
Sworn Brother (Viking)
posted with amazlet at 17.03.20
Pan (2011-08-19)

Sworn Brother (Viking) (語数約124,000語)

第2巻は主に彼の20代のお話しになっています。

舞台は1019年ロンドンから。1巻の終わりで、漂流していた彼はNorse人たちに助けられ、ロンドンへ渡ったわけですが、なんと、北海帝国のKnutの「妻」Aelfgifuの情夫になっていて、ぶっとびました…。美しいAelfgifuに彼はベタ惚れですが、そこは権力争いの主戦場。身ひとつの彼にはコントロールしきれるような場所ではなありません。

最終的に彼はロンドンを飛び出すこととなり、Norwayの首都へと向かう最中、Grettis Sagaで語り継がれることになるGrettirと出会います。主人公はその後、さまざまな場所…、NorwayからIceland、Jomsvikingに参加したり、Sabmeの人々としばらく暮らしたり、ビザンツ帝国を目指す最中には西のViking、Varangiansたちと一緒になったり。ヴォルガ流域ではアッバース朝の人物と出会ったり、と相変わらずの放浪生活を繰り広げることとなります。11世紀初頭の様々なエリアがでてきて本当に楽しいです。以前読んだ A Viking Romance Collection の中の中編にも、Knutの絡みやJomsvikingの話がでてきて、そのときさんざんWikipedia等で年表を睨みながら、似たような時期のことをさんざん調べていたので、今回は入りやすかったですね。裏切者と名高い海賊あがりのThorkelなんかも、あーハイハイ、あのひとね、というようなものです(笑)。Vikingを活用していたキエフ大公国のウラジミール1世の崩御後のVarangiansたちの一種の狼狽ぶり、職探しぶりなどの背景も飲み込んでいるので、Varangiansが職を求めてビザンツ帝国を目指すという流れもナットクです。東から西までのViking全般を全部物語に入れてくるとは、本当に内容が充実しているなぁと思います。

しかしそうした様々な歴史絵巻を取り込みつつ、物語の縦軸は、タイトルにあるように、Grettis SagaのGrettirです。不運を背負ったような人物ですが、弟たちには愛され、主人公とは義兄弟の仲となり、Sageとして語り継がれることになる人物ではあるのです。終盤の締めはそうきたか、という形で、きれいに収束しています。

というわけで、以下は恒例になりつつある登場人物のネタバレ含むメモ書きです。今回も盛りだくさん。

England…Aelfgifuに浮かれている。Edgarの元で狩りを覚えたり、Birthmaerの元では造幣現場をのぞいてみたり。

  • Aelfgifu…Kuntの最初の妻。サクソン貴族の娘。WikipediaだとAelgif of Northamptonの表記で。990年生まれなので、1018年時点で28歳。
  • Emma…Knutの2番目の妻。Knutよりも14歳年上。
  • Herfid…Icelandic Skald。職を探しにKnutの元にきたけれども、あまり巧い詩でもないんだよね…。
  • Thorkel…元海賊あがりのEnglandでの副摂政。裏切りばかりやっているので、悪名高い人物です。
  • Edgar…Aelfgifuの実家にいる王家の狩猟係。主人公のメンター的存在。
  • Kjartan…片手のHuscarl。主人公と親しくなる。
  • Birthmaer…造幣稼業をKnut時代以前から営んでいる。貨幣の勉強になりました…!
  • Thurulf…同い年(18か19)位の青年。赤髭だけど禿げてる!Birthmaerの甥。

Tonsberg distinct of Norway…Grettirとの出会い。

  • Grettir Asmundarson…Grettir the Strongノルウェー行きの船の中で再会。アイスランドの森にいた荒くれ者のひとり。暗闇になにより怯えている。
  • Thorstein the Galleon…Grettirのハーフbrother。父親違いだが、兄と違って落ち着いていてGrettirをとても慕っている。
  • Thorir of Grad…GrettirにNorwayで家族を殺され恨んでいる。

Iceland…ロクでもない新婚時代。

  • Gunnhilder…主人公より四歳年上の初嫁。Snorri Godiに勧められて彼女と結婚することにした。生まれてからずっと放浪生活だったので落ち着きたかったんでしょうね。
  • Audun…ケチ!Gunnhilderの父親。
  • Thrand…1巻でも主人公のメンターの一人として登場していましたが、再び登場。面倒見がいいですね!

Jomsviking時代…戦い方を少しは学ぶ。

  • Arne…Jomsvikingをほそぼそと再建しようとしている男。Thrandの昔の仲間。
  • Earl Ulf…デーン人の伯爵。Knutの姉妹を嫁にもらっている親戚。

Drang Island…Grettir兄弟との孤島での暮らし。

  • Thorbiorn Ongul…Drang Island近くのSkagafiordあたりの地主。独眼。
  • Illugi…Grettirより10位若い弟。一緒にDrang Islandに棲む。兄想いですね!
  • Thorodd…Snorri Godiの息子。
  • Bolli Bollason…Snorri Godiの義理の息子。インテリな農民。早く息子に家督を譲って世界中を旅したいという情熱をもっている。

Sabme…沈黙の取引にひかれてSambeの住む森へ。

  • Rassa…Norse語を話せるSabme。noiade。信じる神は違えども、主人公のメンター。
  • Allba…Rassaの次女。身軽なので、狩りに参加する。

Varangians…Volgaルートで東ローマ帝国へ。

  • Vevmundr…サーメ人と取引している商人。
  • Ivarr…Angantyrで悪名高いVarangian。

Sarklander

  • Salim Ibn Hauk…al-Qadirに仕える。凄いメモ魔で、Volga Vikingsのことなんかも書き残している有名なAhmad ibn Fadlanあたりがモデルなんじゃないかと思いました。Ahmad ibn Fadlanは10世紀の人物なので、時代はズレますけどね。