The Kite Runner (語数106,895語)
1975年、12歳のAmirは地元の凧揚げ大会での勝利を熱望していた。彼の親友Hassanは彼を助ける、と約束していた。しかしその日の午後、Hassanの身に起こることを少年たちは予想もしていなかった。その事件の後、二人の仲は疎遠になっていく…。ロシアがアフガニスタンへ侵攻してきた後、Amirの家族はアメリカへ亡命する。アメリカでの生活も安定し、作家として成功しはじめたAmirの元に、ある日、昔の知人から電話がかかってくる。そして彼はとある少年を探しに、タリバンの支配する故郷へ戻るのだった…。
アフガニスタンのことをほとんど知らなかった私ですが、歴史的事件や民族・宗教のこともある程度わかるように書かれているので、背景を知らなくて困る、というようなこともなく読み通せました。英文もやさしめだと思います。
アフガニスタンと物語の主な流れ
- 王政時代
- 1973:クーデターが起こり王政廃止。
- 1979:ソ連による軍事介入。
- 1981:Amir達がアフガニスタンを脱出。
- 1989:ソ連撤退完了。
- 1996:タリバン、カブール占拠
- 2001:Amirが帰郷するキッカケの電話を受け取る
構成は大雑把にいって、アフガニスタンでの幼少期の思い出、アメリカに亡命してから結婚して落ち着くまで、そして再び故郷アフガニスタンへの「旅」という3部構成です。
Amirは父子家庭で、同じく父子家庭の親子Hassanたちと暮らしています。HassanたちはHazara人(モンゴル系でシーア派というマイノリティ)で、Amir一家の住み込みの召使という立場です。ただし、親子2代にわたって乳兄弟のようにして育っているから非常に親しい。
ソ連が侵攻してくる以前のアフガニスタンでの暮らしぶり(但し裕福な家の…!)などは、著者の思いれもあるのでしょう、丁寧に描かれていて心惹かれます。Amirの父親はかなりのやり手実業家で、夢見がちなAmirと今ひとつうまくいかない、自分が生まれたときに母親が亡くなってしまったから、父は自分を憎んでいるのではないか、とまで少年Amirは考えるわけですが、後半、父の秘密が明らかとなり、父の気持ちもわかってきます。
今や作者はアメリカで生活しているので、外国人にも理解しやすいですね。アフガニスタンでの考え方なども、アメリカでの考え方を踏まえた上で描写しているので。とはいえ、アメリカへ亡命した作家が書いた物語である、ということを忖度しないと、タリバンの描写などは不公平になるような気がしています。タリバンによるHazara人虐殺一つをとっても、それ以前から迫害の歴史はあったわけですから。タリバンよりも他の派閥の方が良かった、という話にはならないということです。※ハザラ人への迫害者はタリバーン政権だけではない
タリバン・サイド側からの物語も読みたいですね。
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