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1/09/2017

The Empty Throne (The Last Kingdom Series, Book 8) (YL6)

The Empty Throne (The Last Kingdom Series, Book 8) (The Warrior Chronicles/Saxon Stories) (語数約99,200語)

2015年にBBC2でテレビシリーズのベースになったBernard Cornwellのベストセラーシリーズの第8巻目。

今回は911年頃のÆthelredの死、そしていかにしてÆthelflaedへ権力は移行させていったか、という話が軸となっています。女の玉座なんて認められるか、という周囲の「常識」をいかにうまくひっくりかえすか、足を引っ張ろうとするライバルをいかに蹴落とすかを巡って話が進みます。

前巻ではCuntの剣で瀕死の重傷を主人公が負いますが、Teotanhegleの戦いでÆthelredもまた重傷を負いその傷がもとで死に至る…、という説を今回作者はとったようです。

そしてだんだん次世代が育っていきている描写が増えてきましたね。冒頭では21歳になる息子のUhtred視点の一人が語りからはじまりますし、今回はなんといっても娘のStiorra。Lundeneに彼らがいたころは父親が帰ってくると足にまとわりついてくる愛嬌のある幼子でしたが、気が付けばとても母親に似てきて父親にとってはとてもミステリアス。普段から戦場ばかり駆け巡って娘のことはÆthelflaedにまかせっきりですから、娘の考えていることは全然わからない。せっかく周囲に馴染めるようクリスチャンとして育てたつもりなのに、どうやら修道女たちに異教徒の娘といじめられて、クリスチャン嫌いとなっていてドッキリしたてみたり。でもどうやら度胸もあるし、かなり頭がまわる。ÆthelflaedはStiorraと同世代の自分の娘Ælfwynnのことを比べては、私の娘はバカ娘で困る、頭に羽でも詰まっているんじゃないかしら、とこぼして、Stiorraの賢さをうらやむほどに。

Edwardの長男であり庶子として扱われているÆthelstanはまだまだ少年ですが、長男であるが故に有力貴族から命を狙われつつも、主人公の庇護のもと、「あなたは正統な王位継承者なんだ。いずれ王になるのときのために」と主人公なりの現場主義な帝王教育を順調に受けています。王の道もまた修羅の道ですね(…Æthelstanの伝記ものがあったら読みたい程度には気になってきました)。

Æthelredの女だったEadithも今回活躍しますが(正妻Æthelflaedにとってはライバル)、Eadithとその兄Eardwulfは不思議な関係でしたね。Eadithはふんわりとしていて、運命に流されるタイプなのかもしれませんが、なんのかんのいって優しい。Æthelredはそういうところに惹かれたのかもしれませんね。そして賢いけれども女たらしすぎて女から嫌われるEardwulfは、しまいには妹を娼婦呼ばわりし、主人公が「彼女が娼婦なんだとしたらそれはお前のためだろう」ってかばうんですから…!妹が微妙に兄を諦めている感じだったのは、この性根のせいなんでしょうか。

また今回はWalesのAlfredともいうべきKing Hywelなんかも登場したり、Irelandでの凄まじい生存競争ぶりの話がNorse人Sigtryggrからでてきたりして、同時代の近場エリアの情勢がチラ見できるところも面白かったです。

ハンサムボーイのSigtryggrは再登場するんでしょうかね…?戦闘中に片目になったら自分をOrdinだ…!と笑う男って相当気違っていて面白いですよ?

主人公周辺

  • Æthelstan…Wessex王Edwardの長男であるが「庶子」の少年。双子。やんちゃ。
  • Eadgyth…Edwardの「庶子」の少女。Æthelstanと双子。
  • Uhtred…主人公の跡継ぎ。次男だったが長男が聖職者になってしまったので、Uhtredの名前を受け継ぐ。
  • Stiorra…主人公の末娘。今は亡き最愛の妻Giselaに似てきてツライ。17くらい。
  • Finan…Uhtredの最も信頼する部下。一緒に奴隷時代も過ごした。Irish。
  • Osferth…Alfredの私生児。Alfredは聖職者にしたかったけれども、戦士の道を歩む。戦いに喜びを見出している様子もないが、父親ににてマジメで思慮深く几帳面。
  • Rædwald…かつてÆthelflaedの護衛官を破っていて今はUhtredの補佐官。慎重派。
  • Godric Grindanson…Uhtred の従者。12歳。
  • Gerbruht…大食漢。頭は少々鈍いがガタイの良さを生かしてパワフル。父親は神父だったようで、子どもの頃、父について各地へ巡礼している。
  • Berg Skallagrimmrson…Rognavaldの手下だった少年。ちょっと息子のUhtredに似ていたので、気になって主人公が処刑される直前に助ける。
  • Father Cuthbert …Edwardの秘密の結婚式を挙げた神父。唯一の生き証人なので主人公にEdwardから託された。今は盲目。
  • Mehrasa…FatherCuthbertの妻。元奴隷。Cuthbertが美貌に惚れ込み結婚。
  • Ingulfrid…Osferthの女に。もともと主人公の従兄のUhtredの妻だったが、主人公がさらったのでBennanburgに戻ってもどうせ不貞を疑われて殺されるので、戻れなくなった。

Mercia

  • Æthelred…主人公の従兄でMerciaの盟主。
  • Æthelflaed…Alfredの娘。Wessex王Edwardの姉。Æthelredの正妻。主人公と浮気。
  • Ælfwynn…Æthelflaedの一人娘。Uhtredより少し若い。幼馴染で周囲からはUhtredと結婚すればいいのに、と思われている。
  • Merewalh…Æthelredの部下だったが見捨てて、今はÆthelfleadの忠実な戦士。
  • Eadith…Æthelredの女。
  • Eardwulf…Eadithの兄弟。ハンサムで賢い。Æthelredの軍隊の司令官。
  • Bishop Wulfheard…Gleawecestreにいる司教。もともとHerefordの司教だった。主人公を嫌っているのでÆthelredのお気に入り。前巻では主人公をMerciaから追い出そうと、主人公の領地Fagranfordaの小屋を焼き払ったりしている。
  • Father Penda…Bishop Wulfheardの部下だが、主人公とは関係がある。

Wessex

  • Æthelhelm…Wessex王Edwardの義理の父。Ealdorman。大男。娘はEdwardの妃。Edwardにつぐ金持ちで彼の私兵はWestSaxon軍の中で三番目に大きい。Edwardの相談役。
  • Ælfweard…Æthelhelmの孫。
  • Brice…ベテラン兵士。たいていÆthelhelmの旗のもとで戦っている。

Wales

  • Bishop Asser…主人公と険悪の仲だったWales出身の司祭ひとり。Alfredからの信任が厚かった。Alfredの死後、Æthelhelmのおひざ元のScireburnanで司祭に収まっていた。
  • King Hywel…Twddewiあたりを支配しているWalesの王。
  • Father Edwyn…Twddewiにいた神父のひとり。Scireburnan出身でSaxonの言葉を話す。Bishop Asserと一緒にこの地へきた。
  • Anwyn…King Hywelのチーフアドバイザーであり聖職者。Saxonの言葉を話す。

Norse

  • Ivar Imerson…アイルランドで悪名高い海賊。しかしIrishも同じくらい狂暴なので、彼をかなり押しだしている。
  • Sigtryggr Ivarson…Ivarの息子の一人。20かそこからでハンサム。神に愛されていると彼の仲間は言う。

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