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6/02/2013

A Dangerous Fortune(YL6)

A Dangerous Fortune (English Edition) (語数165,499語)

1866年の夏の蒸し暑い日、プールで泳ごうとこっそり寮を抜け出した少年たちの一人が溺死する。奇妙な事故…。その溺死は、30年に渡る愛と裏切りの始まりだった…。

愛と裏切り、上流社会から貧困層、銀行家たち、政治の駆け引きまでをとりまく大河ドラマです。冒頭の事故シーンからすっと物語に引き込まれました。主要キャラが次々に登場するのですが、一人一人が魅力的(イイヤツも悪いヤツもさまざまですが)なのに加えて、とにかくプロットが凄い。前半もぐいぐい引き込まれますが、後半も、あそこはそうだったのか!などなど伏線の回収がめくるめくされていき、怒涛の勢いで読んでしまいました。19世紀という時代背景もいいですね。物語の冒頭からの30年あまりでかなり様変わりしていて、女性が少しずつ社会に出ていく様子や、貴族社会の「称号」、電話なども導入されていき…、といった描写もなにげなく上手にされています。

Cordova出身のMicky Mirandaが本当、悪いヤツなんですけど、最後までいいキャラでしたね。学校卒業後、一日に数時間オフィスで過ごしてお金と地位のある仕事が欲しいなーとか考えていたにもかかわらず、結局、パパが「ヤクザ」もんで、いいように使われて、国に呼び出されるのがイヤで、パパの為に奔走していたり…。自分の母親世代の友達の母親Augastaに惹かれてみたり…。Mickyのパパのパワーは凄まじいの一言ですが(なにしろ海の果て…、Cordovaにいながら、息子を操りロンドンの銀行家たちを振り回しているわけですからね)、Mickyがいるからこそ、物語はここまで面白く盛り上がるわけですからね。ラストの彼の忙しさときたら…!土壇場でのスケコマシぶりには、笑えてきました(切羽つまっている中で堂々とやるもんだな、と)。

銀行家も多く登場するので、取引や金融破たんの話なども出てきますが、19世紀くらいだとそこまでとっつきにくい文脈や用語は目立ちませんでした。YL4位を読みつけていれば、物語の面白さでささっと読める感じです。シドニーシェルダンみたいな感じですね。

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