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3/12/2016

Vlad: The Last Confession(YL7.0)

Vlad: The Last Confession: n/a (English Edition) (語数143,840語)

悪名で名高いDRACULA。

しかし本当のDracula、Vladの姿はどうだったのでしょうか?単なる恐ろしい怪物だった?本書では彼の矛盾に満ちたただの人間として描いています。

オスマンがヨーロッパへ膨張してくる時代、キリスト教圏の国々では内輪もめばかり。そんな中、戦闘の最前線のひとつだったワラキアの領主だったVladがどんな戦略でワラキアを導こうとし、オスマンから守ろうとしたのか。「悪魔の息子」と呼ばれた彼は、暴君でもあり立法者でもありました。十字軍院軍の騎士であると同時に大量殺戮者、処刑者であると同時にヒーロー、恋人であるともに殺人者でした…。

Ψ

本書では、Vladが亡くなってから5年後の1481年に、彼の山城だったPoenari城で行われた裁判から彼の生前の姿を描き出す、という形で構成されています。彼をよく知る3人が集められ、彼のオスマン朝での人質生活からはじまり、彼の最期までが語られていきます。Vladと1歳違いのオスマンの王子、Mehmet2世との因縁深いドラマもあって読みごたえたっぷりです。

Vladの一生が、年表を追うだけでもこれだけ激しいものだとは、本書を読むまで知りませんでした。Vladに対するプロパガンダも、生前死後を問わず、君主たちの都合ですごかったんですね。

コンスタンチノープルを攻略してしまうようなスルタンに対して、小国ワラキアの領主(しかも3度返り咲くというハメになる…。目まぐるしい領主たちの裏切り!裏切り!)にすぎないVladは、毎回、絶望的にみえる状況の中で、それなりの戦いをするわけですから、彼の軍司令官としての優秀さは、年表を追うだけでもわかろうというものでしょう。そしてこの圧倒的な戦力差の中で、勝機を見出そうとするわけですから、当然彼は苛烈です。

本書の中では、自分に忠実なものたち対しては優しさをみせるキャラクターとして描かれています。史実かどうかは不明ですが、趣味の鷹匠という属性も、なんだかんだいってキャラクターに説得力をもたせるエピソードで私は好きでした。愛馬や、鳥たちにみせる彼の愛情深さといったら…!いくら彼がワラキアを守ろうと頑張っても誰も信じられないような時代の中で、愛情をかえしてくれる動物たちは慰めだったんだろう、と解釈したくもなります。

年表(≒ネタバレ)を睨みながら読んでいたので、すっかりそんなVladに愛着をもってしまった私は、1476年が近づくと、「Vladがもうすぐ裏切られて死んでしまう…!」と絶望的な気分になっていました。しかしその「死」は、はっとするような終わり方をするし、1481年の裁判の決着もエッ!という展開ですので、絶望的なエンディングではなく最後まで目が離せませんでした。そして「裁判」が1481年だった意味も、Mehmetの年表を見ると、わかってきましたね。

というわけで、オスマン朝の異国情緒もたっぷり、鷹匠ネタも満載、Ilonaとの本当に物語のような(物語なんだけど!)出会いにいたるまで、読み応えたっぷりのヒストリカル・ロマン!!でした。読み終わった後の喪失感がすごい!!!

Ψ

ネタバレアリの登場人物メモ。役職名とかニックネームが散乱しているので、誰のこと言っているのか戸惑いながら読むのは、歴史ものの宿命ですね。登場人物も相当多いですよ!

Vlad Draculの息子たち

  • Mircea Dracula…長男。生き埋めによる死。
  • Vlad Dracula…次男。主人公!ニックネームは、Vlad Ţepeşとか ImpalerとかKaziklu Beyとか全部「串刺し」という意味みたいです。Vladはマルチリンガル。ギリシア語、ラテン語、フランコンニア語、オスマン語?アラビア語もたしなみ、コーランを、暗唱できるっぽいです。
  • Radu Dracula…Vladの弟。Vladの6歳下。Vladと一緒にオスマンで人質生活を送っていました。美少年で美男子に育ち、Mehemed2世のお気に入り。Vladは父の死でワラキアに戻りますが、Raduはそのまま人質生活を続行したことから、オスマンの宮廷で出世。Vladとは対照的な人生を歩みます。最期は哀れ…(涙)。

目撃者たち(1481年の裁判で召喚される告白者)

  • Ion Tremblac…最初の告白者。Vladとの付き合いは子どもの頃からで、5歳でVladと、一緒にトルコへ人質としてきた。Vladの忠実な友であり、家令みたな役割。
  • Ilona Ference…Lamaは奴隷としての名前。ハンガリー語でIlona。Vladの聖域。恋人。
  • Brother Vasilie…the Hermit。隠遁者。Ilonaのお産の時に呼ばれた僧侶。Vladの一騎打ちの戦いのときには兵として参戦していた模様。Vladは無駄な殺戮はしないと考えている。年も近く元戦士ということもあってVladに気に入られ、彼の告白をきくことになる。

オスマン朝の人々

  • Hamza …Hamza agha、のちのHamza pasha。Vladたちの人質時代の講師。鷹匠。Vladと鷹への愛を共有している。
  • Murad Han…Vladの人質自体のときのスルタン。ムラト2世。Mehmetの父。
  • Mehmet Celebi…Muradの息子。のちの「Fath」とか「The Conqueror」とも呼ばれるコンスタンチノーブルを陥落させるスルタンに。Vladより1歳年下。14歳で兵隊連れて暴れたけど、評議会から抗議を受けて1度、皇太子から引きずり降ろされたりしている。
  • Abdullah-i-Raschild…ギリシア生まれの奴隷でMehmetのお気に入り。

Wallaciaの領主たち

  • Albu cel Mare…The Great。 クセモノ。1448年、Vladの味方のフリしてVladislav側についた。
  • Turcul jupan…Wallachiaで2番目の権力者。Gales jupanの兄弟。彼の娘ElisabetaはIlonaのメイド。Ilonaはこの領主が嫌い。
  • Gales…Vladの領主の一人かな?チビで片目みたい。肝心の戦いでVladを見捨てたので、Vladに出くわさないよう逃げ回っている。…が捕まり、Vladの結婚式の日に処刑。
  • Cazan…父親と同じくらいVladに忠実。ワラキアの正当な教会のトップ。

DraculaのVitesji

  • Black Ilie…Vladの逃亡生活中にボディガードとして雇われた。アフリカの血も混ざってる?Vladのvitesjiの一人。親衛隊みたいなもんかな?とても忠実。
  • Stocia…Vladの下僕。口がきけない。なにも言わなくてもニーズを満たしてくれる。とても忠実。

その他

  • Petru Iordache…1481年裁判当時、ワラキアの領主に仕えるPoenari城の若いSpater。裁判の為やってきたHorvathyの為に執事的に動く。
  • Horvathy…Count of Pecs領主。伯爵。ハンガリー王Matthiasの取り巻きのひとり。独眼。1481年の裁判は彼が主導しているみたい。
  • Domenico Grimani…Cardinal of Urbino(イタリア山間部の小都市。ルネサンス期に栄えた)。1481年の裁判の採決を任される。カトリックですよ。(ワラキアは正教が主流ですが)。
  • Hunyadi…ワラキア出身のハンガリーの貴族。Vladの父を斬首することを命じた。MatthiasCorvinusの父。
  • Matthias Corvinus…ハンガリーの王。カラスの紋章みたいで「The Crow」とも。Vladたちより10若いけど2倍老けて見える…。彼は父親のHundtadi。Vladはそんな敵の息子の元で幽閉生活を送ったり、手を組むんですから、お互い凄まじい関係ですよね(Vladを生かしておくMatthiasの政治センスが生臭い)。
  • Thomas Catavolinus…Hamzaと一緒に派遣されてくるギリシア人。オスマン朝の広大さを思いますね。
  • Abdulmunsif…Hamzaと一緒に捕まる大使。
  • Abdulaziz…Murad時代からのマイナーな役人。大使。Hamzaと一緒にVladに捕まる。
  • Han Jiskra…ハンガリー王の欲得ずくの指揮官。Vladへの裏切りに心折れそうな若き日のHorvathyを叱咤する。
  • Elisabeta…Vladの最初の妻。Turculの娘だったと思うな。Ilonaのメイドもしてたんだけど。
  • Ilona Szilagy…Vladの2番目の妻。こっちのIlonaはハンガー王Matthiasの従妹。
  • Janos Varency…ハンガリーの強盗を捕まえる役人。Vladのハンガリーでの幽閉生活の終わりに、捕り物騒ぎで入ってきて、その傲慢さがアダとなりましたな?
  • Stephen Cel Mare…Bogdanの息子。Vladのいとこ。父親が殺されたあと、Vladと一緒に逃亡。たぶんこの方のことも「The Great」と言ってると思うよ。
  • Karafat…Vladの愛馬。メス。小柄だけどVladも背が高いわけじゃないし、愛馬だね。
  • Ahktar…メスのハヤブサ。HazmaからVladへプレゼント。

2/06/2016

Ice Wreck (A Stepping Stone Book(TM))(YL2.5)

Ice Wreck (A Stepping Stone Book(TM))
Random House Books for Young Readers (2014-07-22)

Ice Wreck (A Stepping Stone Book(TM)) (語数14,800語)

アイルランド出身のShackletonの南極横断探検のお話。1914年に船ででかけるも氷塊に囲まれて身動きできず、船は氷に圧迫されて壊れてしまいます。そこからのチーム全員での生還が淡々と描かれています。チームのリーダーとしてのひとつのあり方を提示している感じです。

先日、Hallル女史の「Nansen」の翻訳本で岩波少年文庫からでている「ナンセン伝」を読んだばかりだったので、その頃の極地探検家のお話が気になったので、軽く読めるこちらを読んでみました。

Shackletonの場合はスタートからして船が氷に破壊され、その後も次々に計画通りにいかず、よくぞこれだけの困難をかわして全員生還したものだよ…、という展開でした。

一方、Nansenの場合は北極探検の為に、「いかに氷の圧力をうまくかわすか」というあたりに配慮したフラム号を設計するところからはじまっていました。その後Amundsenがこのフラム号で南極点の到達を達成します。極地探検では氷塊に囲まれて、船が壊れてしまうことはままあることのようなので、今回の本を読んで、改めて、Nansenの凄さを感じてしまいました。

1/31/2016

Bomb: The Race to Build--and Steal--the World's Most Dangerous Weapon(YL6)

Bomb: The Race to Build--and Steal--the World's Most Dangerous Weapon (Newbery Honor Book) (語数60,534語)

第二次世界大戦中のマンハッタン計画をめぐる実話なのです。2013年のニューベリー受賞作品で非常に読みやすかったです。

  • Oppenheimerを中心とする原爆開発チームの話。
  • 米英の原爆開発の研究をさぐろうとする「同盟国」ソ連のスパイたち。
  • ドイツの原爆開発を阻止するために、原爆の材料となる重水素工場を破壊する工作チームの話。

これら3つの動きを軸にしながら、戦中から戦後冷戦までの流れがよく描かれていて読み応えはありました。

エピソード的にはノルウェーの破壊工作話がインパクトがありました。これはアクション映画か?いや実話か!という手に汗握るような展開です。ノルウェーは大戦中、ドイツに占拠されているわけですが、そこには原爆の材料として必要な重水素工場が堅牢な場所にありました。この重水素が原爆の開発に利用されることを恐れた連合国側は、英国軍の特殊部隊で訓練した地元ノルウェーの工作メンバーを送り出して、工場を破壊させるわけですが、とにかく難攻不落な場所の立地とあって、よくぞ成功したな、という顛末でした。

マンハッタン計画に参加している学者たちの「裏切り」行為自体のエピソードも「えーっ」という感じではありますが、彼らの「戦後」も平坦ではありません。

ソ連が米国の予想よりも早く原爆を完成したため、情報漏えいに気付いた米国側は、戦中のテレグラムを全て捜査して、「容疑者」として次々と特定されていくわけです、ドイツ生まれの理論物理学者Klaus Fuchsや、米国生まれの理論物理学者TedHall(19歳でマンハッタン計画に抜擢された最年少の物理学者。しかし自らソ連領事館にかけこみ、情報を流すことを申し出る)、もともと産業スパイとしてソ連にスカウトされいたHarryGold…。そもそも情報を流していた当時は「同盟国」だったソ連への情報提供ですから、それを「裏切り」と糾弾できたものかどうか微妙なところがあるわけですが、「自白」にまで追い詰められたものが多い。

原爆の父と言われたOppenheimerにしても、水爆開発をめぐっては「倫理」感から失意のどん底。それほど幸福な余生を送った様子はありません。

政治的なキーとなる動きもよくまとまっていました。

原爆開発にゴーサインを出したRoosevelt大統領は任期途中で亡くなり、結果として自動的にTrumanが大統領となり、日本へ原爆を1度ならず2度も落とす決定をくだします。TrumanのStalinとの相性の悪さもみてとれるし、戦後の水爆の開発をめぐっては、Oppenheimerにたてつかれながらも、ゴーサインを出します。「どうせソ連に水爆の開発をされれば、今度は、どうして先に水爆を開発しなかったんだとたたかれるのは自分だ」という思いがTrumanにはあったという話も書かれています。…この辺はポピュリズムの弊害でしょうかね?とはいえ、原爆で先を越されたトラウマのあるStalinは、米国が水爆開発をしなくとも、Trumanがいうように水爆を開発させはしたでしょうね。もはや破壊力が巨大すぎて、なんの為の開発かもわかりませんが。そうこうしながら現在に至り、テロリストに奪取されたら…、印パ戦争でもしも勢いで使われたら…、などいう心配の尽きない今にいたる話なのです。

1/03/2015

Gone Girl: A Novel(YL7)

Gone Girl: A Novel
Gone Girl: A Novel
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Crown (2012-06-05)

Gone Girl: A Novel (語数130,820語)

ミズーリ州に住むNickとAmyの結婚五周年の日の朝のことだった。家に戻ると何者かと争ったあり、聡明で美しい妻は消えていた。

Amyがつけていた日記からは、Nickとの出会いからしばらくの幸せな日々、そこからの次第に忍び寄る結婚生活の危機が赤裸々に書かれていた。警察やメディア、Amyの両親からNickヘと投げかけられる疑惑の目。はたして彼は本当に殺人者なのか?

Ψ

というのが、前半の話。後半はあっと驚く「真実」が展開されていきます。でもネタバレになるので書けませんね!正直、この奥さん、よくやるわ…、って感じです。映画も見てきましたが、映画はAmyの独白部分がないので、より一層、Amyが何を考えているのかわからずホラーでしたヨ。

でも、テーマは"結婚生活って""男って女って…"ってところで、ミステリー・ホラーが主軸というわけではないと思います。

もっともなかなかAmyほどの人はいないと思いますが。AmyのAmyたる所以って、やっぱり親の書いたヒットシリーズ「AmazingAmy」によるところが大きいと思いますしね。いつも「彼女があの物語の中で完璧なAmyのモデルになった人よ!」てな感じで比較、競争させられているAmy。これはものすごい強迫観念だと思いすよ…。彼女の両親の存在は、結構ホラーですよね(特に小説)。

オマケ

映画版GoneGirlのVFX。こんなに沢山エフェクトかけているんですね!!→http://vimeo.com/115019179

11/08/2014

Kindred(YL5)

Kindred
Kindred
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Beacon Press (2004-02-01)

Kindred (語数96,452語)

現代の黒人女性Dana。カルフォルニアの新しい家で夫と26歳の誕生日を一緒に迎えていたその時、突然、南北戦争前の南部の世界へ飛ばされてしまうというタイムトラベルものです。

物語ではアメリカ建国記念日200周年目の1976年と、1800年代を彼女は行ったり来たりします。彼女の祖先にあたる白人少年Rufusが危機に陥る度に、彼女は過去へ飛ばされ、少年を助けることになります。しかし命の恩人とはいえ、彼女は黒人なので周囲からは奴隷として扱われます。

1970年代的な考え方と、奴隷制度が「常識」だった南部の人々の考え方のはざまでの葛藤や、当時の人々の暮らしぶり、考え方が、「タイムトラベル」を通して、生き生きと描かれています。

Ψ

とにかく主人公のDanaが魅力的でした。現代人としての「常識」をもちながらも、そこまで一方的に当時の白人たちのやり方を責めたりはしない。そんなことを黒人の身でやったら命がいくつあっても足りないし、所詮は歴史を変えられないという諦念もあったと思います。でもだからこそ、ときには他人を傷つけ、自分も傷ついている白人の葛藤までも、かなりフラットに見つめるのですね。与えられた状況の中で、葛藤しつつも彼女は最善を尽くしたと思います。

本書は1979年にアフリカ系アメリカ人のOctavia Butlerによって書かれました。70年代にこの小説が出版されたことに、驚きを感じます。まずは当時にここまで書ける女性のSF作家がすでにいたのか、という驚き!世界は広いですね!

本書の舞台は1976年で、公民権運動もひと段落したくらいの時期ですが、DanaやKevinはかなりリベラルな感じなんだろうな(だからこそ今読むと、すごく感情移入しやすい!)ということはみてとれます。白人のKevinと黒人のDanaの結婚にいたるまでの騒動を描くことで、彼らの親世代はまだ人種差別の傷を引きずっているし、周囲も彼らほどのリベラルというわけでもなさそうだ、ということがわかります。そういう環境の中でここまで書ける、というのは、本当に凄いと思います。葛藤があるからこそ、ここまで書けるのかもしれませんね。

英文は読みやすいです。とにかく面白いし、グイグイ読めるので、オススメです!

南部の農園ということで、個人的には「それでも夜が明ける」の映像がすごくこの小説の情景と重なり合いました。南部の農園の様子を知るには、こちらの映画もいいかもしれません(全然夜は明ける気はしない映画でしたけどね…。原題は「12 Years a Slave」なのに、なんでこの邦題にしたのでしょうか)。

10/26/2014

The Clan of the Cave Bear (Enhanced Edition) (Earth's Children)(YL7)

The Clan of the Cave Bear (Earth's Children)
Hodder & Stoughton (2010-12-21)

The Clan of the Cave Bear (Earth's Children) (語数196,000語)

氷河期末期の時代、クロマニヨン人の少女は、不案内で危険な土地を一人で彷徨っていた。大地震がおき、彼女は両親を失った孤児だった。

同じく大地震で住処としていた洞穴を失った「氏族」(ネアンデルタール人)は、新たな住処を探して旅をしていたところ、彼女と出会う。

彼らにとって、ブロンドで青い目をしたAylaはかなり異端で、醜い少女だった。彼女は彼らのもといた土地の近くに住んでいた異なる種族(クロマニヨン人)の一人だった。

しかし氏族のまじない女のIzaは、ほっとけば死ぬとわかっている少女を見捨てていくことができず、彼女を自分たちと一緒につれていくことにした。IzaとMog-urのCrebは彼女を可愛がりながら育て、Aylaは次第に氏族の生活に慣れ、もっとも彼女を受け入れてくれたIzaの癒しの技術を学び始める。

しかし、残虐でプライドの高い次期リーダーのBroudは、彼の権威を傷つけかねない彼女の異質さを嫌うのだった。彼は次第に憎悪の念を育て、いつか自分がリーダーになったときに、復讐しようと決心する。

Ψ

邦訳版で最終巻の1歩手前まで読んでいるこちらのシリーズ。邦訳の方も完結しているのは知っていましたが、その頃には多読をはじめていたので、いつか原書で読んでみようと今までとっていましたよ。ま、このシリーズ、1巻が一番面白いので、今後どこまで読み続けることになるのか、わかりませんが…(2巻もそれなりに面白かった筈なので、2巻までは読むでしょう)。

物語の筋はぼんやりながら把握しているので、思った以上にかなりツラツラと読めました。若干薬草関係なんかは読みづらかったり、氏族の名前で混乱したりもしましたが、英文はそこまで難しくないと思います。そして文句なしに1巻は面白いです!

以前読んだときには氏族の「記憶」があまり釈然としていなかったのですが(特にIzaが薬草の「記憶」を取り出しますよね。「そんなに具体的に取り出すことのできる記憶って?」とそこで思考停止していました)、「本能」と置き換えれば、あぁ、より旧人類の彼らにはそういうところがもしかしたらあったかもしれない、と思えたり。氏族とAylaのミックスのDurcに関しても、最新の研究ではクロマニヨン人とネアンデルタール人の交配があったという話もでてきていますから、途端にCrebの「希望」にも現実味がでてきたり…。

Izaの愛情の深さには本当に心をうたれるし(彼女の遺言ときたら…!どこまでAylaのことを思いやっているのか)、Crebの洞察力はさすがのMog-urの中のMog-urだとあらためて感嘆したり(物語の中ではシャーマンのような存在です)。

邦訳版を読んだのは、10年近く前の話なので、今回「再読」にもかかわらず、本当に没頭しましたよ。長いですけど、読み終わってしまうと寂しいです。邦訳版の2巻は結構ウキウキしながら読んだ記憶はあるのですが、クロマニヨン人には、なかなかIzaやCrebたち以上のキャラクターが出てきませんのでね…。

登場人物メモ

  • Ayla…主人公。クロマニヨンの孤児。
  • Iza…Aylaをわが子もように慈しむ。氏族のまじない女でステータスがある。
  • Creb…氏族の大シャーマンみたいな存在。Aylaをかわいがる。
  • Brun…氏族の良きリーダー。IzaやCrebの兄弟。
  • Broud…Brunの息子。次期リーダー。
  • Uba…Izaの実の娘。Aylaと姉妹のように育つ。
  • Durc…Aylaの息子。
  • Oga…Broudの妻。
  • Brac…BroudとOgaの最初の息子でAylaに命を救われる。
  • Zoug…Slingの達人。
  • Goov…Crebのmog-urとしての役割を引き継ぐ青年。マジメだが小物感漂う(Crebが凄すぎた)。
  • Vorn…Broudを崇拝している男子。

9/27/2014

Say Goodnight, Gracie

Say Goodnight, Gracie
Say Goodnight, Gracie
posted with amazlet at 17.03.20
HarperCollins (2013-08-13)

Say Goodnight, Gracie (語数41,700語)

離れて生きていくことなんて想像できない友だちだった。

MorganとJimmyはそれこそ赤ん坊の時から一緒に過ごしてきた仲だった。夏の暑い日々には、ポーチをぐるぐる一緒にまわっていた幼馴染のふたり。

そのまま彼らはずっと友達としてすごし、いまでは互いをよく知りつくしている。なんだって一緒にやっていた。学校が終わった後の放課後も一緒に町へでかけてそれぞれダンスオーディションや俳優のワークショップにいそしんでいた。

彼らは遠慮なく言いたいことを言い合った。それができる完璧な友情。ベストフレンド。

しかし人生はどうしてこんなにしっくりきたり、おかしくもなったりもするのだろうか?ひどい事故の後、Morganは突然ひとりで人生に向き合わなければならなくなった。Jimmyがそばにいないということ。それはつまり彼女の最高の部分が死んでしまったようなものだ。どうして愛はこんなにつらいのだろうか?

Ψ

母親同士も親友で、生まれた時から友達だった。ある日、事故で片方が死んでしまう。

事故以前の二人の話も結構詳しく描かれていて、こんなに相手に遠慮なく依存しているのって…、と思うところもあり、そこまでどっぷり二人の関係を肯定的にみていたわけではありません。が、二人の周りの人々のセリフにジーンとくる部分は多かったですね。Morganを見守る彼女の両親そうだし(特に父親…!とても穏やかだし)、Jimmyの母親の立ち直ろうとする様子。それに精神科医の叔母。同級生のJodyもなかなかの大人で。悲しみにのたうちまわっているMorganのまわりをしっかりささえてくれる彼らの存在にほっとするし、セリフひとつひとつがいいんですね。

というわけで前半はそれほどのめり込めず、後半はいろいろ気になるセリフやシーンが増えて加速して読めました。英文はわりと平易だと思いますよ。