Sirens of the Northern Seas (語数約130,820語)
5人の女流作家によるコレンクション。
それぞれ野の花をモチーフにしたVikingもののヒストリカルロマンスです。
KINGDOM BY THE SEA by Kathryn Le Veque
エドガー・アラン・ポーの「AnnabelLee」という詩をベースに現代と過去が交錯するお話しですね!VikingがBritain側の姫様に恋をする、というちょっとおとぎ話めいた展開です。
BANISHED by Anna Markland
年表片手にしながら、個人的にはこれが一番面白かったです。Bluebellsをモチーフに、Jomsviking(漫画「ヴィンサント・サーガ」とかにも出てくるあの幻の!伝説的な!)出身の幼馴染たちのロマンスです。年表的にはちょうど北海帝国を築き上げようかという1017年のCanuteの動きを把握していればバッチリですね。フィクションかな?と思った人物も英語のウィキペディアだとぞろぞろ実在だったりもして、若干ウソもありつつ(あとがきでどの部分が完全なフィクションか作者が種明かししてくれますが)、かなり史実もハマっています。英国史はちょっと…(面倒くさい)、と思っていましたが、Vikingモノから入っていくのもいいかもしれませんね。彼らの動きを追っていると、西はロシア、東はそれこそ北アメリカまで活動していますから、中世の歴史の勉強になります。
ちなみに、本作でもヒロインたちの過去としては、Jomsborgから追放された後、KievanRus(キエフ大公国)のウラジミール1世にしばらく仕えていたようなので、思わずKievanRusのことも軽く調べてしまいました。
デーン人サイド
★つきはWikipediaに単独頁がありました!
- Audra Fingalsdatter…ヒロイン。VilingWoman。Kaptajin of the Dødspatrulje 女性暗殺部隊の隊長。
- Sigmar Alvarsen…ヒロインの幼馴染?2歳年上。huscarlsとしてCanuteに仕える。
- Fingal Adreassen…Audraの父。
- Alvar Haraldsen…Sigmarの父。Fignalの息子をかつて殺した。
- King Canute★…デンマーク人で、イングランド・デンンバーク・ノルウェー王。
- Queen Elfgifu★…Canuteの最初の妻。サクソン貴族の娘。WikipediaだとAelgif of Northamptonの表記で。
- Gertruda…ヒロインの右腕のVikingWoman。暗殺集団The Dodekaに参入。
- Vasha…ヒロインところの古参のVikingWoman。暗殺集団The Dodekaに参入。
- Dagmar…Sigmarの信頼できる戦士。暗殺集団The Dodekaに参入。
- Nathan…Sigmarの男奴隷。
- Torkild den Høje★…Jomsvikingの親玉。Canuteの幼少時のメンターでもあるらしい。以前はEthelred無思慮王と組んでいた。
- Eadric Streona★…Torkild以上に同盟を切り替えまくっている海賊。Ethelredの娘と結婚。ちなみにCanuteの最初の妻、Elfgifuの父親Ælfhelm of Yorkはこの人に殺されています。さらに1016年のBattle of Assandunで、この人は今度はEdmud Ironsideを裏切って、Canute側についてました。裏切者の代名詞ですね。
イングランドサイド
- Ethelred the Unready★…最終的にCanuteに追っ払われるイングランド王。1016年に病没。
- Edmund Ironside★…Ethelred the Unreadyと最初の妻Ælfgifuの息子のうち3番目。上二人が死んだので、イングランドの王座に。Battle of Assandunで決定的な敗北を喫し、Canuteと和平交渉。どちらかが死んだ時は、死んだ方の領土を生きている方に譲るという話も決めて、1016年のEadwigの死をもって領地はCanuteに譲られ、Canuteはイングランドの王に。
- Eadwig Ætheling★… Ethelred the Unreadyと最初の妻Ælfgifuの息子のうちの5番目。1017年にオックスフォードでCanuteに和解を求めています。
VIKING HEARTS by Violetta Rand
Hesse(今のドイツ北部)に家族と住んでいたヒロイン一家はある日、キリスト教圏の手におちて、ヒロインのみ、居合わせたノルウェーの貿易商に拾われてTrondelagまで連れていかれる話。物語が723年からはじまえるのに、なぜかHakkon Sigurdsson(900年代に活躍)の巻物とかでてきてとても混乱しました…。話自体は結構面白いのに、冒頭の723年に縛られてテンションだださがり。Hakkon Sigurdssonが出てくるならスタートという記述自体は不要ですよね。
In THE BRIDE PRIZE by Emma Prince
春を一番先に告げるcoltsfoot(フキタンポポ)がモチーフのお話。本人は女戦士として、西の新しい土地へ向かうJarlの船に乗り込みたいのに、ケチケチした親はさっさと嫁にいけといい、そうだ、祭りの賞品として娘を嫁にだしてしまえ、とたくらむ話。そこへその冬の厳しさに家族をすべて亡くした若者があらわれて…。
A VIKING'S PROMISE by Elizabeth Rose
Forget-Me-Nots(勿忘草)がモチーフのお話。793年のイギリス北部の修道院LindisfarneのVikingによる襲撃は、Viking史的には有名ですが、どうやらそこの部族の話ですね。おさなじみのJarlの息子と結婚の約束をかわすものの、Vikingとして乗り込んだ襲撃先のLindisfarneに置き去りにされてヒロインは恨みつらみ…。結構、クリスチャンの慈悲が軸の話のような気がしました。翻ってVikingはとにかく生活の為に襲撃する、というスタンスで、日本でいうところの倭寇のイメージをもてました。
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