ページ

4/02/2017

Castile for Isabella: (Isabella & Ferdinand Trilogy 1)(YL6)

Castile for Isabella: (Isabella & Ferdinand Trilogy) (語数約104,160語)

スペインの君主の中で有名なCastileのIsabellaの伝記物語シリーズ。1巻ではIsabellaが4歳位からの王宮での暮らしから物語はスタートして、Ferdinandとの結婚までをカバーしています。

父親のJohnⅡは死の床で、王位は異腹の長男Henryへ移譲されようとする中、自分たちは殺されてしまうかもしれないというプレッシャーで母親は半狂乱。実に不安定な幼少期をIsabellaと弟のAlfonsoは過ごします。そんな中、Aragonからの王族Ferdinandとの婚約話が持ち上がり、情緒不安定な母親がそこに希望を見出すのをみて、Isabellaは幸せを感じ、自分の伴侶はきっとFerdinandなのだ、というまだ見ぬFerdinandに対する愛を育て始めます。Isabellaの思い込みの強さには驚かされますが、頼るべき者もいないIsabellaにとってはそれが唯一の希望と化していく様子は、Jean Plaidyの筆にかかるととても自然で読ませてきますね!

意志薄弱なHenryが玉座についたおかげでCastileは次第に無秩序となっていきます。

一方、AragonはAragonでJohn王が後妻のJoanを愛するあまり末っ子のFerdinandを溺愛。先妻との間にもうけた長男Carlosをないがしろにしすぎて、Aragonに争いの種を振りまいていく様子が描かれています。

CastileもAragonの地も政情不安定で、ここから二人はレコンキスタを達成するのか…、と思うと、次巻以降の展開も気になるところです。教科書で読むとふーん、って感じですが、その前段階の状況と知ると、感慨深いものがありますね。Castile、Aragon、PortugalにFranceとの関係もJean Plaidyにかかると、するするっとアタマに入ってくるところもよいです。

ちなみにIsabellaはとても生真面目だし、信仰深くもあり、TheLastKingdomシリーズを読んだ私としましては、キャラ的にはAlfred大王の女性版という印象をもちました。でも物語は彼女の視点で進んでいくので、Alfred大王よりも彼女のキャラは受け入れやすいですね。

※Isabella & Ferdinand Trilogyシリーズ、ブログ内リンク

  1. Castile for Isabella
  2. Spain for the Sovereign

Castile

  • Isabella…主人公。
  • JohnⅡ…Castileの王。Isabellaたちの父親。
  • Queen Isabella…Portugal出身のJohnⅡの2番目の妻であり、主人公Isabellaの母でもある。情緒不安定。
  • Alfonso…Isabellaの同腹の弟。
  • HenryⅥ…Isabellaの腹違いの兄。母はMaria of Aragon。快楽主義。意志薄弱タイプ。
  • Joanna of Portugal…HenryⅥの2番目の妻。
  • Beltran de la Cueve…HenryⅥより若く、とてもハンサム。HenryⅥの妻JoannaPortugalに近づく。
  • Joanna…La Beltranejaとも。JoannaとHenryⅥとの子どもだが、実際のところはBeltran de la Cueveとの子どもかも、と噂されている。
  • John Pacheco…Marquis of Villena。Alvaroと一緒に宮廷へやってきて、HenryⅥと仲良くなり権力者となる。
  • Don Pedro Giron…the Marquis of Villenaの兄弟。Grand Master of Calatrava。兄弟の権力をかさにきて、威張っている野心家。
  • Alfonso Carillo…Archbishop of Toledo。John Pacheoの叔父。わりと一本気。
  • Don Diego Lopez de Zuñiga…the Counts of Benavente and Plascencia。Alfonso側につく大物貴族。the Marquis of Villenaのライバル。
  • Don Frederick Henriquez…Admiral of Castile。Alagonの女王になったJoan Henriquezの父親。Ferdinandの祖父。
  • Beatriz Fernandez de Bobadilla…Isabellaより四歳年上の美少女。Isabellaの侍女であり、親友ともいうべき人物。
  • Andres de Cabrera…Beatrizの結婚相手。Beatrizに尽くしてくれる。
  • Menica de la Torre…Isabellaお気に入りの侍女。
  • Alonso de Coca…Isabellaの命令のもとAlagonの各国の偵察旅行に出かける。

Portugal

  • King Alfonso of Ⅴ of Portugal…HenryⅥ妻Joanna of Portugalの兄弟。
  • Alegre…Joanna of Portugalの侍女。好色。

France

  • Duke of Guienne…フランス王の兄弟。Princess Joannaと婚約。

Aragon

  • John of Aragon…Aragonの王。最初の妻はSicilyのMartinの未亡人でBlanche of Navarre。二番目の妻は年の離れたJoan Henriquezでベタ惚れ。
  • Joan Henriquez…Ferdinandの母親。Queen of Aragon。後妻。
  • Carlos…Aragonの第一王子。the Prince of Viana。Blancheと同腹の兄弟。彼らの母はKingdom of Navarreの王族。
  • Blanche of Aragon…HenryⅣの最初の妻。John of Aragonと先妻の長女。
  • Eleanor…Blancheと同腹の姉妹。FranceのGaston de Foixへ嫁ぐ。
  • Ferdinand…主人公の夫。Aragonの王子。Blancheとは腹違いの末弟。

3/18/2017

The Last Queen(YL6)

The Last Queen (English Edition)
Hodder & Stoughton (2010-09-10)

The Last Queen (English Edition) (語数約124,000語)

物語はスペインによるレコンキスタ、1492年のグラナダ陥落から。スペインの王女Juanaは13歳。両親のFernando王とIsabel女王がスペインを統一し、ムーア人を排除するという印象的なシーンからはじまります。両親は娘たちを次々と同盟の為各国へ嫁がせ、年頃になった主人公のJuanaもハプスブルク帝国の後継者であるFlandersのPhilipのもとへ嫁ぎます。彼女は会ったこともないPhilipの為に愛する祖国スペインを離れがたかったけれども、Philipの美男子ぶりにすぐに恋に落ちてしまいます。二人は子宝にも恵まれ、Philipは浮気性の気質をみせつつも、おおよそ順調な結婚生活を過ごします。しかし故郷のスペインでは、王位継承者たちが次々に不幸に見舞われ、彼女は次の王位継承者になってしまいます。その状況に夫のPhilipは、スペインの王になる野望をいだきます。両親の思惑や夫の野望の板挟みになってしまう主人公。そうした状況が彼女を限界まで追い込んでいく…、という展開です。ちまたでは愛する夫Philipが早死にし、気が狂ってしまった女王…というイメージのようですが、本書では全く異なる解釈をしていますのでお楽しみに…!

これまでなんとなくレコンキスタを完了させたカトリック両王の時代は盤石な時代…という印象がありましたが、こんなにも跡取り問題や諸侯との緊張関係ですぐにも崩れそうな状態でもあったのですね。父親のFernandoがAragonの王で、母親のIsabelはCastileの女王。二人が結婚することでCastileとAragonを合わせてスペインと呼び、二人はスペインのレコンキスタも完了させるほどのパワーをもっていました(コロンブスがIsabelの支援で新大陸を発見するのもこの頃!)。しかしCastileの諸侯はAragonの王であるFernandoをよそ者として嫌っているし、AragonはAragonで男系しか王として認めないという法があるので、本来はカトリック両王の長男がスペインをまるごと継承すれば丸く収まる話でした。しかし長男は若死、問題は噴出です。カトリックで一夫一婦制なのに、男系だけが跡継ぎというAragonのシステムにそもそも無理がありますね。お産での死亡率は高いので、王ともなれば後妻というカタチで腹違いの兄弟たちがいることもありますが、それにも限界があります。主人公は女性なのでCastileの女王にはなれてもAragonの王にはなれない。一つ世代を飛ばして、孫たち世代に期待がかけられるわけですが、最初の男の孫も死んでしまい、主人公の息子たちに期待がどっと押し寄せるわけですね。

ちなみに妹のCatalinaもガッツリ登場。CatalinaはHenry VIIIの最初の妻で、映画化もされたThe Other Boleyn Girlにも登場しますね。"そういえばあの中でCatherine of Aragonってめっちゃ呼ばれてたわ。Aragonって父親がAragonの王だからなのか"となんだかいまさら状況が飲み込めてきました。でもどうしてCatherine of Aragonと呼ばれ、SpainとかCastileじゃないのかはよくわかりません。JuanaはCastileの女王なので、Juana of Castileと呼ばれる点はナットクですが、どうしてCatherineはAragonになってしまうのか…。

そして最後の最期、あとがきを読んでいて作者が男性であることに驚きました。この作者、Amazonのリコメンドでルネッサンスの女性を主人公とした著作ばかりでてくるし、本書ではJuanaの周囲の男性は自分本位でDVだったり、ロクでもない男どもばかり登場するので、なんとなく女性が書いているのだと思いこんでいました。インタビュー記事を読むと、ジェンダーは関係ないと。役者が本人とは全然違うキャラクターの役になりきるように、自分も役になりきるんだよ、とさらっと答えていました。そういうものなんですねぇ…!インタビュー記事ではアメリカ人だと(作者は半分スペイン育ちですけど)、ヨーロッパの先入観から、ちょっとは自由になれてちょっと違った切り口で書けるんだよ、という話も出ており、ははぁ、日本人が書いたらもっとフラットかもね、なんて思いました。

The Last Queen by C. W. Gortner - book trailer

2/09/2017

Who Was Ferdinand Magellan? (Who Was?)(YL3)

Who Was Ferdinand Magellan? (Who Was?)
Grosset & Dunlap (2004-08-03)

Who Was Ferdinand Magellan? (Who Was?) (語数約8,289語)

マゼラン海峡のマゼランの伝記。GRみたいな読みやすさなのでタグはGRをつけています。とはいえ、歴史本なので単語はちょっとクセがあります。

もっと意気揚々とした人生を送った人物かと思いきや、なかなか過酷。コロンブスが新世界をみつけ、ポルトガルのヴァスコ・ダ・ガマがアフリカ大陸を経てのインドへの航路を発見したりする大航海時代に生まれた彼も、自分自身で新航路をみつけたいと願っていました。マゼランは西周りで東洋の香辛料が豊富な島々へたどり着けるのではないかと思っていたわけです(当時地中海にはどーんとオスマン帝国があり、そこを通るには高い通行税を払わないといけませんでしたから、欧州勢はなんとか地中海を避けて東洋と貿易できないかとルートを探していたわけです)。

当初彼はポルトガル宮廷に仕えていましたが、王との相性が悪く、出世もみこめないので、スペインの王の援助を求めます。しかしまぁポルトガルの王がそれに嫉妬し、航海は出向前からトラブル含み…。それでも鉄の意志(神を強固に信じていた様子)で、マゼランは5隻の船団をひっぱっていきます。ラテンアメリカの東海岸沿いに南下しながら「海峡」探しをするわけですが、大きな川と海峡の区別はいちいち調べなければ区別がつかないわけで、難航。そのうち冬になり、越冬したり、パタゴニアでは巨人に出会ったり…(パタゴニアンの話は初めて知りました。ちょっと調べると、3mサイズというのは船員たちのホラ話で、2m弱程度じゃないかということですが…。イギリス人航海士三浦按針とかの報告にも出ているみたいですね)。

規模もわからない広すぎる太平洋をひたすら西へ航海しているうちに、船員たちはビタミン不足で次々壊血病などで倒れる中、マゼランだけは平気そうだったなど、興味深さとある種の冷徹さ、信仰の強固さなど、思いをはせたくなるエピソード満載でした。そうして世界一周を果たした船団ですが、コストがかかるわりに利益がないと当時は打ち捨てられていたんですね。

イラストも沢山ついていて、このコンパクトさで情報量満載!近頃この時代に興味をもっているわけですが、周辺情報のビギナー本としてこのシリーズはお手頃ですね。

2/05/2017

The Flame Bearer (the Last Kingdom Series, Book 10) (YL6)

The Flame Bearer (The Last Kingdom Series, Book 10) (語数約148,800語)

2015年にBBC2でテレビシリーズのベースになったBernard Cornwellのベストセラーシリーズの第10巻目。

いよいよ主人公長年の夢、故郷Bebbanburg奪還の展開へ。

強固な城塞都市であるBebbanburg奪還は、焦る必要もないので、包囲戦を考えていた主人公ですが、そこは従弟もさるもの、Norse人のEinarたちを雇い、主人公たちを追っ払おうとしたり。それとは別口でなかなか手ごわいScotsの王ConstantinがBebbanburgをかすめ取ろう動いたり。Merciaの女王Æthelflaedとは前巻で、主人公のお膳立てでうまいこと条約を結べた義理の息子Sigtryggrですが、今度は南方からSaxonたちが進軍してきてたり…。頼みのÆthelflaedもどうやら本巻は917年頃の設定なので、死に至りつつあり…。

周囲は敵だらけ、わずかな部下たち。これまでSaxonやMerciaとともに戦ってきた主人公ですが、Alfredの息子EdwardやÆthelflaedらとは近しい思いを抱きつつも、だんだんと対立を深めてきます。義理の息子がpaganですから、ある意味、しょうがないですね。

本巻でもグイグイ話は展開されて、あの伏線がここで回収されて、そっちの話は実はそうだったのか!という見事さでシリーズ全体の伏線もだいたい回収されたんじゃないでしょうか。話としては一区切りに思えますが、Historical Noteを読むと、より大きな野望、Englishを話す人々が一つの国となる野望は達成されていないので、Uhtredが何を考えているかによらず、彼の話もまた終わらないのである、というような気になる一文がありましたので、続刊するのかもしれません。もっともこの野望は主人公というより、Alfredの夢だったわけですが…。

もういい加減Finanともどもじいさんなので、甲冑を着て走り回るのには無理があるんじゃないかと思いますが…。もっともシリーズ後半、彼が歳を取ってからの方が、より剣のテクニックを丁寧に描写されるようになって、体力をテクニックでカバーしているんだなぁ、という感じは強まっていますけどね。いずれにせよこのシリーズは相当楽しみましたので、続刊するならそれはそれで楽しみですが、新刊は年内にでるのでしょうか。ここまできたら年内に出てほしい…。

主人公の周辺。

  • Æthelflaed…Merciaの女王。King Alfredの娘であり、主人公とは愛人関係だった。
  • Sigtryggr…主人公の娘Striorraの夫。Eoferwicを有し、Northenbriaの王に収まろうとしている。赤い斧の旗。
  • Finan…Irelandの戦士。主人公とは若いころから苦楽を共にし、親友であり片腕。視力がとてもよく、素早い剣技。
  • Berg…主人公のところにいる若手戦士。主人公に命を助けられ、恩義を感じている。頬にオオカミの入れ墨を入れているが、なんでブタのマークをつけているのかと仲間内でからかわれている。
  • Rorik…Ragnallの息子だが、主人公が引き取り、主人公の従者になった。
  • Swithun…West Saxonの若い家臣。天使のような微笑みを浮かべるけど、結構狡猾でスリ並の早業。
  • Gerbruht…大男で力持ちだけど、頭はあまりよくない。でも忠実。
  • Kettil…潔癖症なDane人の若手戦士。オサレ。
  • Eadith…元Merciaの盟主Æthelredの女だが、今は主人公の妻。
  • Father Eadig…Eoferwicから来た神父。
  • Archbishop Hrothweard…Eoferwicの大司教。WestSaxon人。Lindisfarenaを再建したがっている。
  • Ieremias…キチガイじみてるからBishop。Dane人。Dagfinnrという名前でかつて主人公の義兄弟だったRagnarに仕える私兵だったが、ある時期から神からの天啓をうけたとばかりにIereminasと名乗りはじめた。Dunholmの支配者である主人公から古い砦のあるGyruumを借りている。

Wessex

  • King Edward…Wessexの王。40台前半。
  • Æthelstan…WessexのKing Edwardの長男。秘密の結婚の結果生まれた子どもなので、庶子扱いされている。王になる可能性もあるので、次男Ælfweard王子の祖父Æthelhelmから命を狙われており、長年主人公や、Merciaの女王であり叔母でもあるÆthelflaedの庇護のもと過ごしてきた。現在22か23。
  • Ælfweard…Æthelhelmの孫。King Edwardの息子。まだ14歳にも満たない。
  • Æthelhelm…King Edwardの義理の父。跳ねている牡鹿が旗。
  • Ælswyth…Æhelhelmの末娘。13、4位。
  • Brice …Æthelhelmに忠誠を尽くす兵士。戦闘能力はあるけど、頭はあまり良くない。
  • Father Herefrith…Æthelhelmに仕えていた元戦士の神父。
  • Bishop Wulfheard…Herefordの司祭だが、ほとんどWessex王の側で過ごしている主人公にとっての長年の天敵。頭がまわってやりにくいが、女好きという弱点が…。
  • Brunulf Torkelson…WestSaxon。Torkel Brunulfsfon の息子。Hornecastreの古いローマの砦に居座っている。住んでたDane人達を殺しはしないけど、全員追い出してる。

Bebbanburg側

  • Waldhere…主人公の従兄弟の軍司令官。長年手ごわいScotsと戦ってきた。
  • Einar Eglison…ドラゴンの旗。Norse人。主人公の動きに不安になった従兄弟が新しく雇った戦闘員たちのリーダー。30代位。

Scots

  • King of Alba…Scotlandの王。Constantinとも。
  • Cellach mac Causantín…Alba王の息子。20歳。

1/29/2017

Warriors of the Storm (The Last Kingdom Series, Book 9) (YL6)

Warriors of the Storm (The Last Kingdom Series, Book 9) (The Warrior Chronicles/Saxon Stories) (語数約12,400語)

2015年にBBC2でテレビシリーズのベースになったBernard Cornwellのベストセラーシリーズの第9巻目。

本巻は史実というより、これまでのオールキャラ総集編、みたいな感じす。

前巻でÆthelflaedを名実ともにMerciaの女王にした主人公は、本巻ではNorthumbriaとの前線であるCeasterを守っていたところから始まります。そこへ義理の息子Sigtryggrの兄RagnallがIrelandから一大軍勢を引き連れて、Ceaster周辺を襲撃。さらに彼の軍勢は北へと抜け、それに恭順を示すNorthumbriaの諸侯が加わり、Northumbriaの諸侯の盟主の一人であり、かつての恋人でもあるBridaが主人公の前に立ちはだかります。Rangall傘下には因縁のHaestenも加わり、今回もいかにも口先の巧い彼らしい立ち振る舞いで活躍しています。さらにはIrelandからの軍勢には、Finanの宿敵もおり、ここでついに彼のIrelandを追われた事情もわかってきます。兄Rangallが出てくるということは、当然、Irelandへ渡っていったRangallの弟Sigtryggrやそこへ嫁いだ娘のStiorraも再登場…、ということで今回は作者が作ったほとんど架空の人物たちメインで物語が進行していくので、あまり史実絡みの事象はありません。とはいえ、9巻まで読み進んでくると、主人公の一家はもうほとんど親戚感覚。長年の因縁の人物たちも次々と現れて決着をみせてくれる展開となると、これはもうほとんどファンサービス作品(笑)。Uhtredももう孫までできているのに、孤軍奮闘、娘たち一家もしっかり面倒見て、どえらいじーさんになっています。

主人公の周辺。

  • Father Oswald…主人公の長男。神父になったので主人公から絶縁され、長男としての名Uthredをはく奪。
  • Uhtred…主人公の次男。長男が絶縁されてしまったので、跡継ぎとして育てられる。
  • Stiorra…主人公の愛娘。Sigtryggrと結婚し、Irelandで暮らし、子どももできた。
  • Finan…Uhtredの最も信頼する部下。一緒に奴隷時代も過ごした。Irish。
  • Osferth…King Alfredの私生児。Alfredは聖職者にしたかったけれども、戦士の道を歩む。戦いに喜びを見出している様子もないが、父親ににてマジメで思慮深く几帳面。今は腹違いの妹でありMerciaの女王であるÆthelflaedの元にいる。
  • Æthelstan…King Edwardの長男。結婚に事情があったので庶子扱いされているが、主人公はWessexの正当な跡継ぎだと思って、育てている。
  • Eadith…Merciaの盟主であり主人公の従兄だったÆthelredの妾。Æthelredの死後主人公の元に。主人公がCnutに受けた傷を癒し、信頼されている。
  • Berg…18か19のNorse人。前巻で処刑寸前のところを主人公に助けられて、以来、素直に主人公に忠誠を誓っている。
  • Dudda…Ireland近海に詳しいので主人公が雇った船長。いつも飲んだくれているが仕事はする。

Mercia

  • Æthelflaed…Merciaの女王。King Alfredの娘であり、主人公とは愛人関係。
  • Ælfwynn…Æthelflaedの一人娘。あの子の頭には羽が詰まっている…、というのが母親Æthelflaedのコメント。
  • Cynlæf Haraldson…Ælfwynnの恋人?Edward王の戦士の一人だったがÆlfwynnと出会ってからGleawecestreへ移ってきた。thegnの息子。
  • Merewalh…Æthelflaedに仕える司令官。実直。
  • Father Ceolnoth…双子の神父のうちのひとり。主人公と昔から犬猿の仲。
  • Father Celoberht…双子の神父のうちのひとり。主人公に歯をおられた。
  • Bishop Leofstan…主人公のおひざ元Ceasterに着任した主教。いつもニコニコ。弱者にやさしい。Father Beoccaの教え子。
  • Gomer…Bishop Lofstanの妻。
  • Father Glaedwine…Æthelflaedに仕える聖職者。AlfredがWessexに作った学校の卒業生。Æthelflaedはもっぱら事務員として使っていたが、彼の名声は詩人であること。讃美歌などを作る。

Norse・Irish・Northumbriaの人々

  • Ragnall Ivarson…主人公の娘が嫁いだSigtryggrの兄。Sea Kingなどと名乗り船団を率いて、ブリテンで大暴れ中。かなり残虐。
  • Rorik…Ragnallの息子。9歳にならずや。母は不明。
  • Sigtryggr Ivarson…ハンサム。神に愛されていると彼の仲間は言う。主人公の娘Stiorraと結婚。
  • Conall…Finanの弟。
  • Father Haruld…Haestenをクリスチャンに改宗させたという神父。
  • Mus…EadsByrigで捕虜にした美少女。
  • Brida…主人公の幼馴染。もとはSaxon人だが、主人公同様Dane人の文化に馴染んでDane人側についてしまった。主人公の義兄弟ともいうべきRagnar亡きあと、Dunholmを支配している。
  • Vidarr…Ragnallに忠誠を誓う20代半ばのNorse人。妻が主人公たちの捕虜にされたので、Ceasterへやってきた。
  • Askatlta…Vidarrの妻。
  • Oryar Freyson…Ragnallの船長の一人。主人公と同じくらいの年頃。慎重で、出来はいい。妻子をRagnallに人質にされている。
  • Bjarke Neilson…Ragnallの船長の一人。妻子をRagnallの人質にされている。
  • Haeseten…若いころ主人公に救われ忠誠を誓っていたが、裏切り、ずるがしこい立ち回りで生き延びてきた。

1/09/2017

The Empty Throne (The Last Kingdom Series, Book 8) (YL6)

The Empty Throne (The Last Kingdom Series, Book 8) (The Warrior Chronicles/Saxon Stories) (語数約99,200語)

2015年にBBC2でテレビシリーズのベースになったBernard Cornwellのベストセラーシリーズの第8巻目。

今回は911年頃のÆthelredの死、そしていかにしてÆthelflaedへ権力は移行させていったか、という話が軸となっています。女の玉座なんて認められるか、という周囲の「常識」をいかにうまくひっくりかえすか、足を引っ張ろうとするライバルをいかに蹴落とすかを巡って話が進みます。

前巻ではCuntの剣で瀕死の重傷を主人公が負いますが、Teotanhegleの戦いでÆthelredもまた重傷を負いその傷がもとで死に至る…、という説を今回作者はとったようです。

そしてだんだん次世代が育っていきている描写が増えてきましたね。冒頭では21歳になる息子のUhtred視点の一人が語りからはじまりますし、今回はなんといっても娘のStiorra。Lundeneに彼らがいたころは父親が帰ってくると足にまとわりついてくる愛嬌のある幼子でしたが、気が付けばとても母親に似てきて父親にとってはとてもミステリアス。普段から戦場ばかり駆け巡って娘のことはÆthelflaedにまかせっきりですから、娘の考えていることは全然わからない。せっかく周囲に馴染めるようクリスチャンとして育てたつもりなのに、どうやら修道女たちに異教徒の娘といじめられて、クリスチャン嫌いとなっていてドッキリしたてみたり。でもどうやら度胸もあるし、かなり頭がまわる。ÆthelflaedはStiorraと同世代の自分の娘Ælfwynnのことを比べては、私の娘はバカ娘で困る、頭に羽でも詰まっているんじゃないかしら、とこぼして、Stiorraの賢さをうらやむほどに。

Edwardの長男であり庶子として扱われているÆthelstanはまだまだ少年ですが、長男であるが故に有力貴族から命を狙われつつも、主人公の庇護のもと、「あなたは正統な王位継承者なんだ。いずれ王になるのときのために」と主人公なりの現場主義な帝王教育を順調に受けています。王の道もまた修羅の道ですね(…Æthelstanの伝記ものがあったら読みたい程度には気になってきました)。

Æthelredの女だったEadithも今回活躍しますが(正妻Æthelflaedにとってはライバル)、Eadithとその兄Eardwulfは不思議な関係でしたね。Eadithはふんわりとしていて、運命に流されるタイプなのかもしれませんが、なんのかんのいって優しい。Æthelredはそういうところに惹かれたのかもしれませんね。そして賢いけれども女たらしすぎて女から嫌われるEardwulfは、しまいには妹を娼婦呼ばわりし、主人公が「彼女が娼婦なんだとしたらそれはお前のためだろう」ってかばうんですから…!妹が微妙に兄を諦めている感じだったのは、この性根のせいなんでしょうか。

また今回はWalesのAlfredともいうべきKing Hywelなんかも登場したり、Irelandでの凄まじい生存競争ぶりの話がNorse人Sigtryggrからでてきたりして、同時代の近場エリアの情勢がチラ見できるところも面白かったです。

ハンサムボーイのSigtryggrは再登場するんでしょうかね…?戦闘中に片目になったら自分をOrdinだ…!と笑う男って相当気違っていて面白いですよ?

主人公周辺

  • Æthelstan…Wessex王Edwardの長男であるが「庶子」の少年。双子。やんちゃ。
  • Eadgyth…Edwardの「庶子」の少女。Æthelstanと双子。
  • Uhtred…主人公の跡継ぎ。次男だったが長男が聖職者になってしまったので、Uhtredの名前を受け継ぐ。
  • Stiorra…主人公の末娘。今は亡き最愛の妻Giselaに似てきてツライ。17くらい。
  • Finan…Uhtredの最も信頼する部下。一緒に奴隷時代も過ごした。Irish。
  • Osferth…Alfredの私生児。Alfredは聖職者にしたかったけれども、戦士の道を歩む。戦いに喜びを見出している様子もないが、父親ににてマジメで思慮深く几帳面。
  • Rædwald…かつてÆthelflaedの護衛官を破っていて今はUhtredの補佐官。慎重派。
  • Godric Grindanson…Uhtred の従者。12歳。
  • Gerbruht…大食漢。頭は少々鈍いがガタイの良さを生かしてパワフル。父親は神父だったようで、子どもの頃、父について各地へ巡礼している。
  • Berg Skallagrimmrson…Rognavaldの手下だった少年。ちょっと息子のUhtredに似ていたので、気になって主人公が処刑される直前に助ける。
  • Father Cuthbert …Edwardの秘密の結婚式を挙げた神父。唯一の生き証人なので主人公にEdwardから託された。今は盲目。
  • Mehrasa…FatherCuthbertの妻。元奴隷。Cuthbertが美貌に惚れ込み結婚。
  • Ingulfrid…Osferthの女に。もともと主人公の従兄のUhtredの妻だったが、主人公がさらったのでBennanburgに戻ってもどうせ不貞を疑われて殺されるので、戻れなくなった。

Mercia

  • Æthelred…主人公の従兄でMerciaの盟主。
  • Æthelflaed…Alfredの娘。Wessex王Edwardの姉。Æthelredの正妻。主人公と浮気。
  • Ælfwynn…Æthelflaedの一人娘。Uhtredより少し若い。幼馴染で周囲からはUhtredと結婚すればいいのに、と思われている。
  • Merewalh…Æthelredの部下だったが見捨てて、今はÆthelfleadの忠実な戦士。
  • Eadith…Æthelredの女。
  • Eardwulf…Eadithの兄弟。ハンサムで賢い。Æthelredの軍隊の司令官。
  • Bishop Wulfheard…Gleawecestreにいる司教。もともとHerefordの司教だった。主人公を嫌っているのでÆthelredのお気に入り。前巻では主人公をMerciaから追い出そうと、主人公の領地Fagranfordaの小屋を焼き払ったりしている。
  • Father Penda…Bishop Wulfheardの部下だが、主人公とは関係がある。

Wessex

  • Æthelhelm…Wessex王Edwardの義理の父。Ealdorman。大男。娘はEdwardの妃。Edwardにつぐ金持ちで彼の私兵はWestSaxon軍の中で三番目に大きい。Edwardの相談役。
  • Ælfweard…Æthelhelmの孫。
  • Brice…ベテラン兵士。たいていÆthelhelmの旗のもとで戦っている。

Wales

  • Bishop Asser…主人公と険悪の仲だったWales出身の司祭ひとり。Alfredからの信任が厚かった。Alfredの死後、Æthelhelmのおひざ元のScireburnanで司祭に収まっていた。
  • King Hywel…Twddewiあたりを支配しているWalesの王。
  • Father Edwyn…Twddewiにいた神父のひとり。Scireburnan出身でSaxonの言葉を話す。Bishop Asserと一緒にこの地へきた。
  • Anwyn…King Hywelのチーフアドバイザーであり聖職者。Saxonの言葉を話す。

Norse

  • Ivar Imerson…アイルランドで悪名高い海賊。しかしIrishも同じくらい狂暴なので、彼をかなり押しだしている。
  • Sigtryggr Ivarson…Ivarの息子の一人。20かそこからでハンサム。神に愛されていると彼の仲間は言う。

1/02/2017

The Pagan Lord (The Last Kingdom Series, Book 7) (YL6)

The Pagan Lord (The Last Kingdom Series, Book 7) (The Warrior Chronicles/Saxon Stories) (語数約99,200語)

2015年にBBC2でテレビシリーズのベースになったBernard Cornwellのベストセラーシリーズの第7巻目。

今回の最終的な舞台は910年Teotanheale(Tettenhall)の戦い。Tettenhallで戦いがあったということとそこでWessex・Merciaの連合軍はDane人に勝ったという以外、詳細不明の戦いで、作者があとは妄想力で補完している話となります。

ブリテン一の剣術遣いCnutの仕込んでいる策略は相変わらず複雑に入り組んでいてい、49になってもいまだ脊髄反射で動きがちの主人公はその穴にハマり込み…。いかにしてワナだったということに気が付き、反撃に出るかというところは、作者の妄想とはいえ十二分に読み応えアリ!

Edwardの長男Æthelstan(「庶子」なので主人公が育てている)は、8歳ながら主人公に臆する気配もなく結構ヤンチャな感じがでていて将来性を感じる一方で、主人公の長男Uhtredはやっぱりというか聖職者になりたいと言い出す始末。Bebbanburgの領主としての意識の強い主人公がそれを認められる筈もなく、縁を切り、嫡男としてのUhtredの名前をとりあげ、末息子OsbertをUhtredと名乗らせて嫡男としたり…。そんな末息子も今回はじめてのShieldWallに参加して戦士の片鱗をみせつつ、やっぱりクリスチャンなんですよね。

異教徒の主人公は周囲がほとんどクリスチャンで本当に生きにくい…!誤解されまくりで気難しい男だと言われるけれど、愛人のÆthellfeadだけは主人公のある種の単純さ気質をよく理解している。

それからAlfredの長男Osferthにもついに恋の季節が…!彼はAlfredの庶子で敬虔なクリスチャンだからこそ、自分は生まれた時から罪深いと絶望していてこれまで浮いた話のひとつもありませんでした。こんな生まれた時からどんな努力しようもなく罪の烙印を押し付ける教えって残酷だな、とOsferthを見るたびに心で泣いてましたが、次巻ではどうなっていますでしょうかね。

主人公の周辺。

  • Uhtred…Alfredの元で幼少期を過ごし聖歌隊になんかも参加しちゃってついに聖職者になりたいと言い出した主人公の長男!主人公に息子じゃないから今後Father Judasを名乗れと言われる。
  • Osbert…主人公の末っ子。19歳。かなり厳しく育てた。長男が絶縁されたのでUhtredを名乗ることに。
  • Stiorra…主人公の末娘。16位かな?
  • Æthelstan…KingEdwardの長男。8歳。
  • Father Cuthbert…主人公のところの神父。Edwardが主人公に送ってきた牧師。
  • Finan…Uhtredの最も信頼する部下。一緒に奴隷時代も過ごした。Irish。
  • Osferth…Alfredの私生児。Alfredは聖職者にしたかったけれども、戦士の道を歩む。戦いに喜びを見出している様子もないが、父親ににてマジメで思慮深く几帳面。

Mercian

  • Æthelred…主人公の従兄でMerciaの支配者。
  • Æthelflaed…Alfredの長女。Merciaを支配している主人公の従兄弟Æthelredのところへ嫁ぐ。が、半ば黙認状態で主人公が愛人。
  • Eadith…Æthelredのお気に入りの美女。Merciaの王妃になりたがっている。
  • Eardwulf…Eadithの兄。Æthelredの私兵の司令官。20代。
  • Merewalh…Æthelredの部下だけど、主人公と仲は良い。いつも前線の汚れ仕事ばかりやっている。
  • Ælfwynn…Æthelflædの一人娘。

Bebbanburg

  • Ælfric…Bebbanburgの領主。主人公の叔父。
  • Uhtred…Ælfricの跡継ぎ。Bebbanburgの正当な支配者のつもりなので、Uhtredを名乗っているわけですね。
  • Ingulfrid…従兄弟のUhtredの妻。Dane人で美女。
  • Osbert…従兄弟のUhtredとIngulfridの間の子で本人たちは直系におさまったつもりなのでUhtredだけど、主人公に改名させられる。主人公からしたら自分の息子が直系で、傍系だし。
  • Hoskuld Leifson…Ingulfridの父親。Sigtryggに仕えている。
  • Sitrygg…Norsemanの戦士。アイルランドに王国を作っていたけど、競争激しい土地柄なので追い出さてCumbralandにいる模様。

Vikingたち

  • Cnut Ranulfson…若い頃から白髪なNorthumbriaの支配者。いまは40位。賢く無慈悲。IceSpiteという剣をもってて北から南まで恐れられている。
  • Sigurd Thorrson…Northumbriaの支配者。主人公が息子を殺しているので恨んでいる。
  • Frigg…Cnutの妻。かつてのErce。超絶美人。
  • Cnut Cnutson…CnutとFriggの双子のうちの息子。6才。
  • Sigril…CnutとFriggの双子のうちの少女。
  • Jarl Haesten…主人公にかつて助けられたDane人。今はCnutの靴をなめている状態だけど、かなり貪欲。